| 【山田風太郎の戦後の日記 刊行中】 (No.47 2006. 3.20配信号) |
今年は作家山田風太郎(1922−2001年)の没後5年に当たります。 戦後最大の物語作家として、年々評価が高まっている風太郎の作品の中でも、忍法帖と明治開化小説が特に知られていますが、独特の死生観や世相批判を披瀝するノンフィクション作品も、もう一つの真骨頂です。とりわけ、生前に刊行された『戦中派不戦日記』『戦中派虫けら日記』は、戦中を生き抜く庶民の姿を一医学生の目で生き生きと綴った名著中の名著です。 公開が待ち望まれていた戦後の日記は、晩年の風太郎の意思で、没後、遂に封印が解かれました。以来毎年一巻ずつ刊行を続け、現在、昭和21−27年の日記を4巻で読むことができます。 昨年NHK教育で放映された「山田風太郎が見た戦後日本」は、あの名優三國連太郎さんが同じ戦中派として共感する風太郎の日記を読むという番組で、風太郎の書斎で日記帖を手にとって朗読する場面が放送されました。 ここで紹介された未刊部分は現在の日本をも見透すような不気味に予見的な記述も含まれ、出版社には是非、今後も刊行継続をお願いしたいと思います。 戦中派の作家が見た戦後日本の姿を記す、文学史上の一級資料でもあるこれらの日記を、一人・一館でも多くご購入ください。 ※詳細ページからご注文できない場合は、末尾に記載されている紀伊國屋書店 e-Alert事務局宛にご連絡下さい。ご注文方法をご案内します。また、以下から、BookWeb Pro の利用申し込みができます。 http://bookwebpro.kinokuniya.co.jp/files/bookwebpro_annai.html |
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1.戦後の日記 |
【1】 | 戦中派焼け跡日記―昭和21年 | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2002/08 (小学館) 標準価格:税込\2,200 ISBN:9784093873932 |
★昭和20年暮れの亡国の落莫感は未だ医学生風太郎を捉えて放さない。だが人心は一瞬にして変わってゆく…変わり行く世情に感じる風太郎の違和感が窺われる記述が続く。特にマッカーサーと右顧左眄を恥じない日本人への批判は鋭い。そんな中、「平凡なお医者さん」になる将来をぼんやりと思いながら、「余技」の探偵小説に風太郎は身を入れていく。 |
【2】 | 戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年 | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2003/06 (小学館) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784093874403 |
★デビュー作『達磨峠の事件』が江戸川乱歩の雑誌『宝石』の懸賞小説に当選、生涯の師と仰ぐ乱歩との出会いとなる。乱歩主催の土曜会に集まる当時の有名人士の描写が興味深い。『虚像淫楽』で新人探偵作家コンクール一位。大いに将来を嘱望される。執筆に忙殺され日記の記述は段々簡潔になるが、東京裁判A級戦犯の死刑執行日など、風太郎ならではの感慨が記される。 |
【3】 | 戦中派動乱日記―昭和24年・昭和25年 | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2004/10 (小学館) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784093875325 |
★『眼中の悪魔』が日本探偵作家クラブ短編賞を受賞、インターン中ながら、本格的な作家活動に入る。この頃『みささぎ盗賊』や『陰茎人』などを書く。騒然たる世情を他所に、酒を飲み、書き、また漱石全集に読み耽る風太郎。 |
【4】 | 戦中派復興日記―昭和26年 昭和27年 | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2005/10 (小学館) 標準価格:税込\2,625 ISBN:9784093875905 |
★日本は遂に講和、独立へ。風太郎の時勢観察は苦い。26年8月5日から。 「ああ、この五年の間に日本人の思想の変わりしことよ!そしてまた自分も変わりしことよ!(中略)「流動する人間心理」恐るべし!」 天才作家としてますます活躍、創作論・作家論が日記にも多く書かれる。昭和27年は、『戦中派不戦日記』で少女として出会った啓子夫人との結婚生活が始まる。風太郎は映画もよく観に行き黒澤贔屓は戦前からだが、この年ベスト1に選ばれた「生きる」にはいたく感激して2回も見ている。ベスト2の「稲妻」(成瀬巳喜男)の評価との対比も興味深いところ。 |
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2.戦中の日記・書簡 |
【1】 | 新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫) | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2002/12 (講談社) 標準価格:税込\1,000 ISBN:9784062736329 |
★戦争中の庶民の記録は少ないということで、昭和46年に刊行したものだが、大きな反響を呼び、今日に至るまで繰り返し版を改めている名著中の名著。タイトルには「死にどき」の世代でありながら徴兵不合格で戦争には参加しなかった著者の思いが込められている。風太郎魔界の原点と言われる。 |
【2】 | 戦中派虫けら日記―滅失への青春 (ちくま文庫) | |
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![]() | 山田風太郎【著】 1998/06 (筑摩書房) 標準価格:税込\1,260 ISBN:9784480034090 |
★昭和17−19年の日記。あてどなく郷里を家出して東京に来た風太郎は軍需工場で働きながら医学校を目指す。希望なき時代の青春の記録である。上著に続いて昭和48年に刊行された。 文庫版の解説は、今月惜しくも急逝した演出家・久世光彦の名文。先行世代の風太郎と自らに通底する「あの時代」への思いを綴る。 |
【3】 | 山田風太郎疾風迅雷書簡集―昭和14年〜昭和20年 | |
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![]() | 山田風太郎【著】 / 有本倶子【編】 2004/12 ((神戸)神戸新聞総合出版センター) 標準価格:税込\1,575 ISBN:9784343002655 |
★「虫けら日記」よりもさらに遡る兵庫関宮の中学生時代から敗戦まで、親しい友人たちと交わした書簡が見つかり、ここに初めて刊行された。言葉遣いの古さを感じさせない闊達な書きぶりに早熟な文才が窺える。 |
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3.風太郎TALKS |
【1】 | 戦中派天才老人・山田風太郎 (ちくま文庫) | |
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![]() | 関川夏央【著】 1998/12 (筑摩書房) 標準価格:税込\735 ISBN:9784480034335 |
★作品を書かなくなった晩年の風太郎は、時々出るインタビューの肉声で持ち前の毒舌と韜晦を披露して世間を楽しませた。本書はそのきっかけをつくった一冊であるが、風太郎の著作を読み込んだ著者ならではの自在な引用が会話にミックスされて、風太郎読本としても読める。 |
【2】 | 風々院風々風々居士―山田風太郎に聞く (ちくま文庫) | |
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![]() | 山田風太郎【著】 / 森まゆみ【聞き手】 2005/06 (筑摩書房) 標準価格:税込\714 ISBN:9784480420954 |
★表題は山田風太郎の自分でつけた「戒名」で、人となりを表している。聞書きの名手、森まゆみが初めて山田邸に乗り込む冒頭インタビューは臨場感に溢れた名読物。併載「明治小説の舞台うら・自著を語る」は、『山田風太郎明治小説全集』の単行本版(全7巻)に掲載されたもの。 |
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4.番外 |
【1】 | 死言状 (小学館文庫) | |
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![]() | 山田風太郎【著】 2005/12 (小学館) 標準価格:税込\540 ISBN:9784094080612 |
★「死は推理小説のラストのように、本人にとって最も意外なかたちでやってくる」など、死に関する極め付きの風太郎アフォリズムを散りばめた傑作エッセイ集。解説は、風太郎の大ファンを自認する哲学者、木田元・中央大学名誉教授。 |
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