| 【2009年度 サントリー学芸賞・日経経済図書文化賞 受賞作!】 (No.290 2009.11.10配信号) |
先週、今年度の日経経済図書文化賞、サントリー学芸賞が相次いで発表されました。 日経経済図書文化賞は、賞が開始されて以来1989年とならんで最も受賞作が少ない年となりましたが、候補作となって活発な議論の対象となったものは数多くありました。 ここではこれらの受賞作と、日経経済図書文化賞の候補作をご紹介いたします。 ◇◆INDEX◆◇ 1.サントリー学芸賞(第31回) 受賞図書 2.日経経済図書文化賞(第52回) 受賞図書 3.日経経済図書文化賞 候補にあがったその他の著作 |
1.★サントリー学芸賞(第31回)受賞図書★ |
詳細な選評・受賞の言葉については、サントリー発表のサイトをご覧ください。 ※選 評 ⇒ http://www.suntory.co.jp/news/2009/10600-2.html#takeuchi ※受賞の言葉 ⇒ http://www.suntory.co.jp/news/2009/10600-3.html#takeuchi |
【1】 | 現代アフリカの紛争と国家―ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド | |
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武内進一【著】 2009/02 (明石書店) 標準価格:税込\6,825 ISBN:9784750329260 |
★【政治・経済部門】 アフリカの紛争の根本的な原因を、独立後に現れた「ポストコロニアル家産制国家」の特質から捉える理論的枠組みを提示する。この枠組みと、植民地化以降の長期的な社会変容の分析を組み合わせ、人類が経験した直近のジェノサイドであるルワンダの悲劇に至る過程を解明する。 |
【2】 | 中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛 | |
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伊東信宏【著】 2009/03 (岩波書店) 標準価格:税込\3,045 ISBN:9784000238557 |
★【芸術・文学部門】 ユダヤ人たちのクレズマー音楽、ロマのブラス・バンド、ルーマニアのラウタール(楽師)のヴァイオリン、ブルガリアのポピュラー音楽― 民族混住の地の、エキゾティックだが懐かしい響き。その旋律は、民族や言語、国境を越え、20世紀の前衛芸術家たちを刺激し、新大陸の大衆音楽市場にも伝播した。この世界音楽史の様々な断片に目を凝らし、ヨーロッパ音楽の地下水脈の背景を、大きな地図のなかに読み拓く。 |
【3】 | オリエンタリストの憂鬱―植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学 | |
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藤原貞朗【著】 2008/11 (めこん) 標準価格:税込\4,725 ISBN:9784839602185 |
★【芸術・文学部門】 気鋭の美術史研究家がパリの膨大な一次史料を渉猟し、ついにフランスのインドシナ考古学研究史を再構築。 ルイ・ドラポルト、エミール・ギメ、ルイ・フィノ、ポール・ペリオ、アンリ・パルマンティエ、ジョルジュ・グロリエ、アンリ・マルシャル、ジョルジュ・セデス、アンドレ・マルロー・・・果たして彼らはアジアから何を持ち去ったのか。 |
【4】 | 明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎 | |
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矢内賢二【著】 2009/04 (白水社) 標準価格:税込\2,625 ISBN:9784560094044 |
★【芸術・文学部門】 明治時代の「現代演劇」だったキワモノ歌舞伎。多彩な資料をひもときながら、名優五代目菊五郎が演じ続けたキワモノ歌舞伎を追体験・再評価し、明治という時代を生き生きと描く。 |
【5】 | 聖遺物崇敬の心性史―西洋中世の聖性と造形 (講談社選書メチエ) | |
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秋山聰【著】 2009/06 (講談社) 標準価格:税込\1,680 ISBN:9784062584418 |
★【社会・風俗部門】 聖人の遺体や遺骨、遺灰、聖人が生前に身にまとったものや触れたもの=聖遺物。 死人を甦らせ、病気やけがを治し、現世の罪を清めて天国に至らしめるという、聖なる力をはらんだ聖遺物を民衆にアピールするための手段として、教会建築や装飾、容器や祭壇画などがキリスト教社会の中で確固たる地位を築いていく。造形イメージが聖性を帯び、やがて芸術へと昇華していく過程をつぶさに追う。 |
【6】 | 荷風へ、ようこそ | |
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持田叙子【著】 2009/04 (慶應義塾大学出版会) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784766416091 |
★【社会・風俗部門】 快適な住居、美しい庭、手作りの原稿用紙、気ままな散歩、温かい紅茶―。 荷風作品における女性性や女性的な視点に注目し、新たな荷風像とその文学世界を紡ぎ出す。 |
【7】 | イスラーム世界の論じ方 | |
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池内恵【著】 2008/11 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,730 ISBN:9784120039904 |
★【思想・歴史部門】 日本の言説空間の閉塞状況を乗り越え、時々刻々変化する国際政治システムにおけるイスラーム世界の全体像を内在的かつ動的に把握するための枠組みを提示。現地情報の精査と分析、社会思想の内在的把握を通して、現代イスラーム諸国の政治を読み解く。俊英による近年の論考を集成。 |
【8】 | 野蛮から秩序へ―インディアス問題とサラマンカ学派 | |
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松森奈津子【著】 2009/05 ((名古屋)名古屋大学出版会) 標準価格:税込\5,250 ISBN:9784815806125 |
★【思想・歴史部門】 大航海時代を拓いたスペインにおいて、非ヨーロッパ地域の「野蛮」な人々とのあるべき関係をめぐり、新たな政治秩序を模索したサラマンカ学派。ラス・カサスにいたるその思想の展開を丹念に跡づけ、主権国家論に連なる近代の政治思想を問い直す。 |
2.★日経経済図書文化賞 (第52回)受賞図書★ |
【1】 | 公共選択の経済分析 | |
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小西秀樹【著】 2009/04 (東京大学出版会) 標準価格:税込\4,725 ISBN:9784130402446 |
★政策の選択・決定のメカニズムを理論的に解明する公共選択論が、新しい展開を迎えている。本書はその先駆けとして、年金・格差・財政再建・地方分権など現在話題のテーマにつき、ゲーム理論など最新の手法を取り入れ系統的に分析する。 ■『―新たに展開しつつある研究分野への魅力的な招待状として、本書の誕生を歓迎したい』(審査委員 鈴村興太郎氏コメントより) |
【2】 | 日本の外国人労働力―経済学からの検証 | |
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中村二朗 / 内藤久裕 / 神林龍 / 川口大司 / 町北朋洋【著】 2009/06 (日本経済新聞出版社) 標準価格:税込\4,200 ISBN:9784532133719 |
★少子高齢化対応には外国人労働者の受け入れが不可欠といわれる。しかし、日本においては外国人労働者の実態は未だに把握されてない。外国人労働者の数量的把握と労働市場へのインパクトを初めて解明する画期的分析。データなき議論に終止符を打つ実証研究。 ■『―本書の背後には、個人では到底困難な完成度の高い共同研究があったといえる。本書で見いだされた観察事実は、今後の外国人労働をめぐる政策論議の際の共通基盤として認識されていく必要がある』(審査委員 樋口美雄氏コメントより) |
【3】 | 「社会的入院」の研究―高齢者医療最大の病理にいかに対処すべきか | |
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印南一路【著】 2009/04 (東洋経済新報社) 標準価格:税込\3,780 ISBN:9784492701249 |
★高密度医療への転換の道をさぐる― 後期高齢者医療の問題が騒がれるなか、社会的入院とは「新しい」問題として認知されつつある。「年間1兆5000億円」、その実態把握および本質的な問題の所在を明らかにする書。 ■『―とかく医療費さえ増やせば問題が解決するかのような最近の風潮の下で、長年の構造問題の重要性を改めて示した点に本書の大きな意義がある』(審査委員 八代尚宏氏コメントより) |
3.日経経済図書文化賞 候補にあがったその他の著作 |
【1】 | メカニズムデザイン―資源配分制度の設計とインセンティブ | |
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坂井豊貴 / 藤中裕二 / 若山琢磨【著】 2008/08 ((京都)ミネルヴァ書房) 標準価格:税込\2,730 ISBN:9784623052349 |
★2007年ノーベル経済学賞を受賞した新理論「メカニズムデザイン理論」には、近年、急速に進んでいる理論の実用化があるが、それを支えるのはマスキンの定理をはじめとする多くの基礎的結果と、「社会的選択とその遂行」という方法論的基盤である。 本書では、方法論から基礎的結果、そしてオークションやマッチングを含む多くの応用トピックについて、最先端研究の動向を紹介しつつ詳細な解説を行う。 |
【2】 | 世界恐慌と経済政策―「開放小国」日本の経験と現代 | |
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鎮目雅人【著】 2009/06 (日本経済新聞出版社) 標準価格:税込\4,200 ISBN:9784532133702 |
★80年前の世界恐慌期にとられた「高橋財政」のマクロ経済政策を統計データと近代経済学の手法を駆使して計量的に分析。文献資料の解釈が中心だった近代日本金融史に新たな一石を投ずる数量経済史研究の画期的な一冊。 |
【3】 | 製鉄工業都市の誕生―ヴィクトリア朝における都市社会の勃興と地域工業化 | |
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安元稔【著】 2009/02 ((名古屋)名古屋大学出版会) 標準価格:税込\6,300 ISBN:9784815806071 |
★19世紀、世界有数の製鉄工業都市として突如出現、英国の未曾有の繁栄を支えた建設都市ミドルズバラの発展と衰退の軌跡を、膨大なセンサス個票から復元、産業集積、都市形成、医療福祉、労働問題における先駆的な対応とともに、衰退局面の苦難をも捉えて今日的な産業都市の原型を描き出す。 |
【4】 | 戦後日本の対外金融―360円レートの成立と終焉 | |
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伊藤正直【著】 2009/06 ((名古屋)名古屋大学出版会) 標準価格:税込\6,930 ISBN:9784815806156 |
★360円レート成立の起源から、ニクソン・ショックによる固定相場制の崩壊まで、戦後復興・高度成長を可能にした対外金融構造を、日米の一次資料を駆使 して実証的・立体的に解明、戦後日本経済の国際的連関をこれまでにない水準で示し、ブレトン・ウッズ体制の理解にも新たな光を投げかける。 |
【5】 | 企業金融とコーポレート・ガバナンス―情報と制度からのアプローチ | |
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花崎正晴【著】 2008/11 (東京大学出版会) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784130402408 |
★経済学と実践の両者の第一線に立つ著者が、表裏一体の関係にある企業金融とコーポレート・ガバナンスの基礎および応用理論を解説するとともに、その現実性を情報と制度の側面から検証する。「企業とは何か」という問題提起に独自の見解と将来展望を示す。 |
【6】 | 金融革新と市場危機 | |
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藤井眞理子【著】 2009/05 (日本経済新聞出版社) 標準価格:税込\2,520 ISBN:9784532353629 |
★市場はなぜ何度も同じ過ちを繰り返すのか。金融システムが機能不全に陥った背後に潜む技術革新の影。ブームと危機をもたらす金融行動のどこに欠陥があるかを代表的な危機から探り、今後を見据える骨太の解説書。 昨今のサブプライムローン問題はもちろん、日本のバブルの顛末、ブラックマンデー、LTCMの破綻など重要な市場破綻史を繙きながら解説している。 |
【7】 | 日本の医療のなにが問題か | |
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吉田あつし【著】 2009/03 (NTT出版) 標準価格:税込\3,570 ISBN:9784757122284 |
★「医療崩壊」は本当なのか? 「医療崩壊」が叫ばれる現代日本の医療に対して、なにが問題の本質であるかを経済学を用いて分析する。診療制度、医院の競争、医師養成、健康保険など医療システムを構成する要素を、その歴史を踏まえて豊富なデータとともに詳細に検討する。 |
【8】 | 大恐慌時代の中国 China during the Great Depression : Market, State, and the World Economy, 1929-1937 (Harvard East Asian Monographs) | |
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Shiroyama, Tomoko 2008/03 (Harvard Univ Council on East Asian) Web販売価格:税込\4,384 / 標準価格:税込\5,386 ISBN:9780674028319 |
大恐慌時代の中国 China during the Great Depression : Market, State, and the World Economy, 1929-1937 (Harvard East Asian Monographs) | ||
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Shiroyama, Tomoko 2009/10 (Harvard Univ Council on East Asian) Web販売価格:税込\2,430 / 標準価格:税込\2,986 ISBN:9780674036178 |
★By analyzing the impact of the slump and the process of recovery, this book examines the transformation of state-market relations in light of the linkages between the Chinese and the world economy. I :THE YEARS OF INFLATION AND LAISSEZ-FAIRE: ECONOMIC TRENDS PRIOR TO 1931 II :THE DEPRESSION YEARS, 1931-1937: THE TRANSFORMATION OF ECONOMICS AND POLITICS |
【9】 | ビジネス・インサイト―創造の知とは何か (岩波新書) | |
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石井淳蔵【著】 2009/04 (岩波書店) 標準価格:税込\819 ISBN:9784004311836 |
★新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知を、ビジネス・インサイトと著者は呼ぶ。この創造的な知は何なのだろうか。M.ポランニーの「知の暗黙の次元」に関連づけ、ビジネス・インサイトが作用した多くの実例を考察して、ケース・スタディで習得できる可能性を探る。マーケティング研究の第一人者による経営学の新展開。 |
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