| 【ハンセン病とスティグマ】 (No.283 2009. 9.29配信号) |
全国に13ある国立ハンセン病療養所。そのうち東京都東村山市の多磨全生園、岡山県瀬戸内市の邑久光明園が今年創立100周年を迎えます。ハンセン病(=らい、またはらい病)は、伝染力が非常に弱いにも関わらず、その見た目によって歴史的に差別・偏見の対象となった病気です。 国の間違った隔離政策により長く暗い歴史が刻まれた療養所には、「らい予防法」廃止から13年が経った今も、およそ2700名の方々が暮らしています。ハンセン病の歴史とスティグマを貼られた人々。その闘いの歩みを辿りながら、人権とは何か、共に生きるとは何か、じっくり考えてみませんか? ここでは、今月刊行された大谷藤郎氏著の『ひかりの足跡―ハンセン病・精神障害とわが師 わが友』(メヂカルフレンド社)を中心に、関連書籍をご案内します。 ◇◆INDEX◆◇ 1.語り継ぐべき歴史がある ― 新刊『ひかりの足跡―ハンセン病・精神障害とわが師 わが友』 2.ハンセン病とその歴史 3.スティグマ(差別)と人権 4.社会と人間 5.病(やまい)と文学 ※今回はメヂカルフレンド社の担当編集の方にご協力頂きました※ |
1.語り継ぐべき歴史がある 新刊『ひかりの足跡―ハンセン病・精神障害とわが師 わが友』 |
【1】 | ひかりの足跡 ハンセン病・精神障害とわが師わが友 | |
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大谷藤郎 2009/08 (メヂカルフレンド社) 標準価格:税込\4,725 ISBN:9784839212902 |
★ハンセン病・精神障害などにかかわる行政の場で様々な難問と対峙し、厳しい時間のなかを生きてきた大谷藤郎氏。本書では、氏の思想形成に直接影響をもたらし、医学・医療の歴史の一部となった人々の足跡、これまで語られることのなかった師友との出会いが綴られている。 そこにはきっと読者の皆さんが初めて出会う事実もあるはず――。癌を患う病床から迷走する現代に投げかける、氏の熱いメッセージが込められた一冊。 【目 次】 第1章 ハンセン病・国家権力と闘ったわが師,わが友 第2章 社会医学の遙かな道―私が見た先駆者たちの足跡 第3章 人間を見よ―こころを病むとは何か 第4章 黙々生きる障害児・者こそ「世の光」だ―重症心身障害,筋ジストロフィー,難病 第5章 漂流か,夢見ただけか―戦後日本の医学・医療の流れの中で 第6章 わが友ハンセン病・戦中派四人組は叫ぶ 第7章 歩もうとした道―私の社会観・人生論 |
2.ハンセン病とその歴史 |
【1】 | 日本の癩(らい)対策から何を学ぶか―新たなハンセン病対策に向けて | |
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成田稔【著】 2009/06 (明石書店) 標準価格:税込\5,985 ISBN:9784750330006 |
★わが国における癩/「癩予防ニ関スル件」の制定と施行/絶対隔離の推進とその実態/化学療法のはじまりと患者たち/プロミン治療を医師は患者に何と伝えたか/「らい予防法」の廃止から「らい予防法国賠訴訟」の原告側勝訴まで/ハンセン病療養所のこれから 他 |
【2】 | 世界のハンセン病現代史―私を閉じ込めないで (世界人権問題叢書〈68〉) | |
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グールド,トニー【著】〈Gould,Tony〉 / 菅田絢子【監訳】 2009/01 (明石書店) 標準価格:税込\7,140 ISBN:9784750329086 |
★過去200年、イギリス、ロシア、アフリカ、インド、フィリピン、日本、ハワイ、アメリカ本土など世界各地でハンセン病と取り組んだ医師や宣教師、さらに患者自身の生涯を克明に辿ることで描きだしたハンセン病の世界史。100点以上の貴重な写真と図版も収録。 |
【3】 | ハンセン病―排除・差別・隔離の歴史 | |
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沖浦和光 / 徳永進【編】 2001/11 (岩波書店) 標準価格:税込\2,100 ISBN:9784000244077 |
★長い歴史のなかで厳しい差別を受け続け、社会から排除されたハンセン病者。ハンセン病への偏見はなぜぬぐい去られなかったのか。国家による苛酷な隔離政策はなぜ続いたのか。日本社会全体がおかしてきた重大な過ちを、多様な視座から検証する。 【残念ながら品切重版未定のため、入手不可となっております】 |
【4】 | 開かれた扉―ハンセン病裁判を闘った人たち | |
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ハンセン病違憲国賠訴訟弁護団【著】 2003/05 (講談社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784062118767 |
★ハンセン病療養所。それは人が人として生きられない場所だった―。元患者たちが「人間回復裁判」に立ち上がり、勝訴を勝ち取るまでの闘いの歴史を語る。 【残念ながら品切重版未定のため、入手不可となっております】 |
【5】 | ここに人間あり―写真で見るハンセン病の39年 | |
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大谷英之【著】 2007/01 (毎日新聞社) 標準価格:税込\3,150 ISBN:9784620606248 |
★隠されてきた歴史の闇を、人々の苦しみをそして、闘いを撮り続けた。封印された90年間の闇に迫る。(隔離された人々/園内の暮らし/出会い/立ち上がる/人間回復裁判) |
【6】 | ハンセン病療養所のエスノグラフィ―「隔離」のなかの結婚と子ども | |
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山本須美子 / 加藤尚子【著】 2008/01 (医療文化社) 標準価格:税込\4,042 ISBN:9784902122275 |
★国立ハンセン病療養書におけるフィールドワークに基づいて、療養所の日常的暮らしの諸相とその変遷を明らかにしたエスノグラフィ。 概説・ハンセン病問題/星塚敬愛園の歴史/女性入園者のライフストーリー/女性入園者の語りに見る結婚と子ども/『姶良野』に見る結婚と子ども/園と「社会」の狭間を生きて/もう一つのハンセン病療養所 |
【7】 | 離された園 (復刻版 岩波写真文庫―森まゆみセレクション) | |
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岩波書店編集部 / 岩波映画製作所【編】 2008/06 (岩波書店) 標準価格:税込\735 ISBN:9784000282758 |
★偏見と体の不自由のなかで、町をさまよい喜捨を乞う病者を強制収容する「らい予防法」は1907年に施行された。 本書はほぼ半世紀のち、1955年の国立施設などを、そこに暮らす人々自らが撮影したものである。 |
【8】 | ハンセン病問題に関する検証会議最終報告書 | |
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日弁連法務研究財団ハンセン病問題に関する検証会議【編】 2007/08 (明石書店) 標準価格:税込\47,250 ISBN:9784750326139 |
★患者を強制隔離し、社会的な偏見を助長した国家の責任はどのようなものだったのか。被害者の声に耳を傾け、国会、医療、法曹など関連機関の責任を徹底的に解明し、被害の回復をはかる。二度と同様の問題をくり返さないための最終報告書。【上下二分冊:分売不可】 <上巻> 熊本地裁判決と真相究明/1907年の「癩予防ニ関スル件」―強制隔離政策の開始と責任 /1931年の「癩予防法」―強制隔離の強化拡大の理由と責任/1953年の「らい予防法」強制隔離の強化拡大の理由と責任 ほか <下巻> 国立療養所入所者を対象とした調査/療養所退所者を対象とした調査/私立療養所入所者を対象とした調査/家族を対象とした調査 |
3.スティグマ(差別)と人権 |
【1】 | 現代のスティグマ―ハンセン病・精神病・エイズ・難病の艱難 (勁草 医療・福祉シリーズ〈51〉) | |
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大谷藤郎【著】 1993/04 (勁草書房) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784326798841 |
★1993年度のレオン・ベルナール賞を受賞した著者が、平成日本人の心に問いかける。ハンセン病・精神病の日本における艱難とは何か。エイズ、難病に待ち受けている艱難とは何か。 |
【2】 | 隔離―故郷を追われたハンセン病者たち (岩波現代文庫) | |
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徳永進【著】 2001/09 (岩波書店) 標準価格:税込\1,050 ISBN:9784006030438 |
★故郷の人々、最も親しい家族にも拒絶されるという悲しみを背負い、病苦と闘うハンセン病者たち。医学生の頃から彼らに深い共感を抱き続けた著者が療養所を訪ね、同郷の元患者1人ひとりの話を聞く。「終生強制隔離」の隠された真実とは。 【残念ながら品切重版未定のため、入手不可となっております】 |
【3】 | 父からの手紙―再び「癩者」の息子として | |
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林力【著】 1997/08 (草風館) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784883230983 |
★部落解放運動に目覚めていくなかで「息子宣言」をした著者が、孤絶のうちに死んだ父の手紙を読みながら、いまなお根強い偏見が残る日本社会のハンセン病に対する差別と迫害の歴史を徹底的に検証する。近代日本が犯し続けたスティグマを告発する痛切な書である。 |
【4】 | 「弱者」とはだれか (PHP新書) | |
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小浜逸郎【著】 1999/08 (PHP研究所) 標準価格:税込\689 ISBN:9784569607269 |
★現代社会における「弱者」とは、ほんとうはどういう存在なのだろうか? 障害者、部落差別など、日常生活で体験するマイノリティの問題について解きおこしていく。 |
4.社会と人間 |
【1】 | 社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属 (有斐閣Insight) | |
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岩田正美【著】 2008/12 (有斐閣) 標準価格:税込\1,575 ISBN:9784641178038 |
★ホームレスやワーキングプア、ネットカフェ難民、日雇い派遣、孤独死や自殺など、福祉国家の制度からこぼれ落ち、呻吟する人々。彼らはなぜ、どのようにその拠り所を失ったのか。 グローバリゼーションとポスト工業社会において、深まるばかりの社会分裂を、どのように分析するか。曖昧に使われてきた「社会的排除」概念を、社会参加と帰属に焦点を当てて、理論的にクリアに示し、データとフィールドワークを駆使して、日本の今のリアリティに迫る。 |
【2】 | カオスの中の社会学―閉塞時代を凝視する (花園大学人権論集〈vol.7〉) | |
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花園大学人権教育研究室【編】 2000/03 (批評社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784826502948 |
★時代はますます閉塞する混沌状況へと流れていく。権力・権威を振りかざす人、女性を蔑視する人、障害者を差別する人…。差別の根源をえぐり出す様々な位相からの研究を通して、反差別の思想と行動の在り様を提起する人権・教育論集。 |
【3】 | 現代医療への提言 内科医六十年 | |
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日野原重明 / 植村研一 1995/10 (岩波書店) 標準価格:税込\1,575 ISBN:9784000006378 |
★日本の医学界を常にリードし続けてきた長老日野原重明が、医療の原点に立ち返って日本の医学界の問題点を厳しく指摘し、医療は誰のためのものかを具体的に問うた示唆に富む問題提起の書。 |
【4】 | 命があぶない医療があぶない | |
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鎌田實 / 若月俊一 / 早川一光 / 増田進【著】 2001/02 (医歯薬出版) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784263232552 |
★なぜ、この国の医療はこんな「カタチ」になってしまったのか。日本の医療は、どこかで道を間違えてしまった。医療改革を行ううえでのヒントを、散り込める。 |
5.病(やまい)と文学 |
【1】 | 人間をみつめて―神谷美恵子コレクション | |
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神谷美恵子【著】 2004/11 (みすず書房) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784622081821 |
★神谷美恵子の思想と行動の立脚点ともいえるハンセン病療養所、長島愛生園。本書では1950年代から70年代、療養所とハンセン病者を取り巻く厳しい現実に向き合い、格闘する日々がリアルな、切実な筆致で綴られている。思索と行動のひとであった、著者の姿を伝える貴重な記録である。 |
【2】 | いのちの初夜 (角川文庫) (改版) | |
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北条民雄 1993/04 (角川書店) 標準価格:税込\483 ISBN:9784041083017 |
★二十四歳で生涯を終えた著者は、生前苦悩の彷徨を虚無へ沈めず、絶望によりむしろ強められた健康な精神を文学の上に遺した。独英訳など海外にも知られ、強い感動を与えている。 |
【3】 | 満月の夜、母を施設に置いて | |
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藤川幸之助【詩】 / 松尾たいこ【絵】 / 谷川俊太郎【対談】 2008/06 (中央法規出版) 標準価格:税込\1,575 ISBN:9784805830192 |
★小学校の教師を経て、詩作・文筆活動に専念。認知症の母親に寄り添いながら、命や認知症を題材に作品をつくり続ける著者。「誰のために生きているのか、母さん…」アルツハイマー病になった母に注がれる、切なくて哀しくて優しい詩たち。 |
【4】 | 言魂 | |
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石牟礼道子 / 多田富雄【著】 2008/06 (藤原書店) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784894346321 |
★免疫学の世界的権威として、生命の本質に迫る仕事の最前線にいた最中、脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と構音障害・嚥下障害を背負った多田富雄。水俣の地にとどまりつつ執筆を続け、この世の根源にある苦しみの彼方にほのかな明かりを見つめる石牟礼道子。生命、魂、芸術をめぐって、二人が初めて交わした往復書簡。 |
【5】 | 癩者の憲章―大江満雄ハンセン病論集 | |
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木村哲也【編】 2008/09 (大月書店) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784272430772 |
★50〜80年代にかけて、全国のハンセン病療養所に暮らす人々と詩作をとおして交流を続けた詩人、大江満雄。差別と偏見をともに乗り越えようとした大江とハンセン病患者たちの対話の歴史がはじめてまとめられる。 |
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