| 日本薬剤師会雑誌(2002年1月号)書評 |
| 順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院 小清水敏昌 |
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疾病に対してクスリではなく健康食品的なものに、人々は魅了されていくような面がある。そういったものが日常メディアに登場し、人々の気持ちに拍車をかけているのかも知れない。本書は、正統派の薬用植物書である。というと、堅いイメージを与えるかもしれないが、そうではなく疾病とそれに役立つハーブ類が解説されている肩のこらない教養書である。 本書は、30年間も米国農務省で活躍し、中南米を始め世界各国で研究していた、この分野では著名な薬用植物学者が集大成し一冊にまとめたものである。こうした類書の場合、植物が中心で病気のことはそれ程とりあげない方が多かった。が、本書は、疾病が先にあり、その疾病に対する有益なハーブ類を紹介するようなスタイルをとっている。対象とした疾病の数は約120余りで、わが国でもなじみのある代表的な疾病をとり挙げている。それらは疾病名称のアルファベット順に並べられているのでやや戸惑うが、これは訳本のためやむを得ない。例えば、Aの項には aging 老化、allergies アレルギー、alzheimer's disease アルツハイマー病、という具合に記載され、最後は Y のyeast infection酵母感染、となっている。もちろん日本語から英語の疾患名が検索できるように、うおのめ→corns、体臭→body odor、便秘→constipationの如く和英対照一覧表も付いているので便利である。本書に登場するハーブ類は約250種類でわが国でもなじみの ものも多い。特に疾病に対するハーブを推奨する場合には役立つ程度を葉っぱのマークを用い3段階の数で示している。最良の場合は葉っぱが3つ付いており、きちんと区別しているのは安心である。また、随所にレシピ(調理用材料)が紹介されており、該当疾病に関する食事療法的なものが得られるようになっている点は興味深い。 本書は米国においてかなり購読されており、フランス語、ドイツ語など他の国々でも翻訳され読まれていることは内容が簡潔で理解しやすい構成になっているためであるが、訳文がやや気になるところがある。一読して、長年にわたり世界をまたにかけ薬用植物について研究した一人の植物学者が歩んできた経緯を知ることができ、著者の豊富な経験が盛り込まれたわかりやすいものとなっている。ハーブ類に興味のある方には必読の一冊と思う。 |