角川文庫<br> 小説 雲のむこう、約束の場所

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角川文庫
小説 雲のむこう、約束の場所

  • ISBN:9784041026366

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内容説明

もうひとつの戦後の世界。1996年、日本は南北に分断されていた。世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」は「エゾ」を支配下に置き、島の中央にとほうもなく高い、純白の塔を建造しつつあった。その頃、青森県の津軽半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は異国の大地にそびえる塔にあこがれ、飛行機で国境の津軽海峡を越え、塔まで飛んで行く計画を立てていた。しかし、浩紀が口を滑らせたせいで、クラスメイトの沢渡佐由理にばれてしまう。さいわいサユリはその飛行機、ヴェラシーラに強い関心を持ち、計画の共犯者になってくれる。浩紀たちと佐由理は、「ヴェラシーラが完成したらサユリを塔まで連れていく」と約束を交わす。ヴェラシーラが完成に近づくにつれ三人の仲も深まるが、サユリはある日、突然、浩紀たちの前から姿を消してしまう――。その約束も果たせぬまま……

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ピロ麻呂

39
ありふれた日常にファンタジーを融合させてるのが新海作品っぽいね(^^)映画も観てみたいなぁ☆彡2018/09/18

よっち

35
共産国家群ユニオンがエゾを支配下に置くもうひとつの戦後世界。津軽半島に住む中3の藤沢浩紀と白川拓也は対岸の塔に憧れ一緒に飛行機を作るようになり、サユリと出会う青春小説。二人の関係にいつの間にか入り込んできたサユリの突然の転校。喪失感を抱えたまま東京の高校に進学する浩紀と、外部研究員として参加し塔の研究に関わる拓也。すれ違ってからお互い複雑な想いを隠せない二人が、道を違えても忘れなかったサユリを救うために、再び協力して奔走する展開にはぐっと来ましたが、だからこそそんな彼らが迎えた結末は少しばかり意外でした。2018/07/26

山本真一郎

29
読了。「君の名は」で一躍名を馳せた新海誠監督の過去作品のノベライズ。元々こういう作品を作る人だったんだなあ、という感慨がある。勿論映像は観た事がないので実質このノベライズで初めてこの作品に触れた事になるが、ある意味で「君の名は」以上に映像への関心を掻き立てられる物語だったと思う。特に登場する浩紀、拓也、サユリの3人が良くも悪くも気持ちを惹きつけられる「塔」を是非観てみたい。「ヴェラシーラ」という、ある意味で象徴的な名前には個人的にとても惹きつけられた。新海誠監督の他の未読作品にも早いうちに触れたいと思う。2018/08/16

ねこけし

24
新海さんの作品に初めて触れたのはこの映画のCMであった。小学生の時だったので話の内容はよくわからないけれどただただ切ない気持ちを掻き立てられ、その後もずっと気になっていた。大人になってから本編を観て、そして今回本を読んだけれどその印象はほとんど変わらない。物語の展開もおもしろいのだけれど、この話の根底にあるのは何かを得るために何かを喪うという「切なさ」。不変であり続けることのない感情。決してハッピーエンドではない終わり方も含め、この話は最も新海さんらしい作品ではないかと思っている。2018/12/09

タルシル📖ヨムノスキー

20
時はもうひとつの現代。戦争により本州と北海道で分断された日本。飛行機作りに夢中になった中学生の浩紀と拓也。中学生ではありえないくらいの技術と知識の二人と、そこに現れた美少女佐由理。単純な青春モノかと思いきや、思いのほか難解なSF作品でした。主人公たちはともかく、真希さんや理佳さんが切ない。どうしてもこの二人に感情移入してしまう。それと岡部のおっさん、かっこよすぎ。思いのほか脇役に味がある。とにかくまずは、自分の足で、自分の力でしっかり立つことができなきゃ、何にも始まらない。そんな風に感じさせてくれた物語。2019/12/25

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