内容説明
商社マンだった父は、かつてアメリカでプロ野球選手だった!?
1963年、カリフォルニアで野球に青春の全てを捧げた男の物語。
作家の本谷要は、亡くなった父親の遺品を整理中に意外なものを発見する。1963年に、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父・総一郎が写った一枚の写真だった。野球が嫌いだったはずの彼に、いったい何があったのか。商社マンとして仕事一筋の謹厳な父は、作家という不安定な職業を選んだ要は折り合いが悪く、長年に渡って没交渉だった。要は父の過去を知るべく、渡米を決意する。
日本初のメジャーリーガー・村上雅則が誕生する前年に、米プロ野球界の底辺、1A北カリフォルニアリーグでたった3ヶ月間、己の青春の全てを野球に捧げた男の物語。
解説・宮田文久
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
474
なんだよコレ、堂場さんの野球小説ん中でも、ピカイチじゃないか?とにかく楽しかったし、先が気になって一気に読まされた。不仲だった父が亡くなり、遺品の中から出てきた、語られなかった過去。作家であるわたしは、真実を知るためにカリフォルニアへ旅立つ。わたしの大好きなロードムービー的な内容であったのも、勝因の一端か。野球をモチーフに借りた、これもまた人間ドラマ。母と娘の小説が全盛の昨今であるが、堂場さんにはこれからもこのテーマ「父と息子」を書き続けて欲しい。 2019/05/04
涼
66
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/11/post-eae606.html 父と息子というのは、いつの時代でも難しいものかもしれませんね。2023/01/03
カブ
54
亡くなった父親の過去を遡ると、全く知らない父親の姿が浮き彫りになる。父と息子ってこんなに相容れないものなの?かたくな過ぎて途中、息子である主人公が嫌いになった。最後まで違和感は拭えなかったが、アメリカ、マイナーリーグの試合や選手の様子はリアルでワクワクした。2018/07/30
Junichi Yamaguchi
41
『自分にない能力を持った人間は、無条件に尊敬すべき』… 父と子の物語。 何年経っても色褪せない、黄金の時。 それだけで人は成長し、生きていける。 僕にとっての黄金の時… きっと、これから訪れるはず…2018/06/22
ドリル
40
久しぶりの堂場瞬一作品。野球モノが大好きで定期的に読んでいたが少し間が空いてしまった。主人公がスポーツ作家という設定なのでノンフィクション作品と勘違いしてしまいそうになるような内容だった。厳格で仲違いしてしまった父と息子の関係が少し切なかったが最後は分かり合えたのかな?野球のシーンが多数出て来て野球好きにはたまらない。しかし、全体的に出来過ぎ感があってあまり感情移入出来なかった。面白い小説ではあるがインパクトはあまり感じなかった。この一冊でキリの600冊。まだまだ通過点。(★★★)2020/11/24