創元推理文庫<br> 空の幻像

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創元推理文庫
空の幻像

  • ISBN:9784488245108

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内容説明

ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。/解説=松浦正人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

280
少女の幽霊を見た女性が殺されるという出だしは興味深く、シリーズキャラクターたちが活き活きと描かれてもいるので、読むのは楽しい。しかし、色々と中途半端でミステリとしては微妙。もともと、警察小説ではあっても、読者が推理に参加出来るタイプの作風ではないが、今作は犯人が明かされる瞬間まで、誰が犯人でも成立しそうな、絞りこみ要素がまったくない構成。しかも終盤になって、結局は真相にあまり関連のない新事実が続々出てきて、蛇足が多い。犯人の設定や動機も前作と被ってしまっており、意外性という面でもイマイチ。2023/01/18

紅はこべ

148
ミステリ+ゴーストストーリー+女の自分探し+毒母。英国の親って意外と子供に頼るんだな。ロンドンでなく、島だからこそか。ペレスとウィローはいずれくっつきそうな予感がするけど、その時キャシーにウィローはどう接するんだろう。この作品のテーマでもある複雑な家族関係が、いずれウィローの問題となりそう。自己評価の低かったポリーが、恋人の裏を知り、頼りにしていた親友の一人を失い、一人とは距離を置くことになって、どう再生するか。2019/04/11

ケイ

129
イングランドから来た女性の言葉「ロンドンの方が安全かもしれない」。その通りだわ。こんな小さな諸島でこれほど事件が起こるなんて。刑事が謎解きをするミステリは安心して読める。特にアン・クリーヴスは丁寧だから。シリーズ最初の4重奏とは異なり、捜査をする人たちが程よく犯人たちを知っている状況であるため、安心して読めるというのもある。サンディがよい感じになってきた。次作も期待。2023/04/16

中原れい

89
今回も秘密山盛りだった!それがだいたい、母と子のことにまとめられる気がする。ペレスがシャッキリしてきてるのが嬉しく、それをイライラしながらも待ってる同僚はやさしい^^ 子供が成人した後に親が自分の人生を生きるのは当然という風潮になってても、狭い離島では…とだけにしたくない意思が感じられた。そう、本土でもおんなじよと前作過去作を思い起こして、うまいなあと思うのだ。死ななくてもいい人たちだったよね、でもこれが生き急いだってことになるのかな…。キャシーをフェア島に連れていけたペレスに幸あれ。思いつつ2冊ポチ。2023/05/06

ナミのママ

76
ペレス警部シリーズ6作目。シェトランド諸島の北に位置するアンスト島が舞台。南北に連なる島に移動するには船で島の南に到着、島内を車で走り抜け、北からまた船に乗るという移動方法。しまなみ海道からとびしま海道への移動を思い出した。ストーリーは結婚式に参列するためにイングランドからアンスト島を訪れた2組のカップル、そのうちの1人の女性の死から始まる。ミステリとしてより、風景や自然描写と、登場人物の葛藤や成長、島の閉塞感や歴史がメインかな。私はその部分が好きでこのシリーズを楽しみにしている。2023/05/21

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