内容説明
夕刊ニッポンの記者、周防正孝は8年前に起きた実父の事件を追っている。実父は新潟の漁港で元最高裁判事の首を模造刀で切断、自らも拳銃自殺した。ある日、厚労省の向井俊介から電話があり、医療ミス疑惑の調査過程で、首切り事件の真相に関わる重大な事実に気付いたという。そこには世間をにぎわす猟奇殺人、人権派弁護士の息子惨殺事件が絡んでいた――。福山ミステリー文学新人賞出身の著者、渾身の長編本格ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
160
謎に向かって、いくつかの方向から集約していく感じは、ミステリーの王道って感じで面白かったです。 トリックに関しては、独特な感じはしましたけど、これに誰も気が付かなかったのかな?って言う気もしました。 しかも、あまりにも簡単に謎が解けている感じは、小説ですからしかたがないか。 ただ、登場人物が多い。 誰が誰だかわからない部分が有りました。私のせいかもしれませんが。 最後にびっくりな展開になります。最後まで飽きずに読ませます。 2022/02/02
いつでも母さん
147
誰がどこでどう繋がるのか、登場人物も多く、どんどん進むのに迷路に放り投げられた様な感じ。向井君こんなに謎解きしちゃうの?あゝ最後はあのままにしておいてよーって私。港の犯罪トリックや、ビルの屋上からの狙撃のくだりは、ちょっと付いていかれなかったけれど、義憤かぁ・・右も左も義憤だらけの世の中だぁ。法曹界、頼みますよ。本当に。この哀しいラストに一筋の光は彼女が周防君のそばにいてくれる選択をしてくれたことだな。しかし、疲れた・・2017/10/02
しんたろー
121
吉田さん3冊目、向井俊介シリーズ2作目。今回もサービス精神旺盛で、数々のトリックを「これでもか!」と繰り出してきて飽きさせない。また、犯罪者の精神鑑定や冤罪などの社会派テーマも盛り込んで色々と考えさせてくれる。ただ、残念なのは主人公のキャラがブレブレに感じること……特に最後の大きな決断をする上で俊介の苦悩や根拠が稀薄なので、いくら正義ゆえの行動でも自己満足や偽善に感じてしまう……もう少し説得力があれば名作になるのに惜しい作品。それでも他作品を読みたくなる魅力は感じた。それにしても魚に殺されるのは嫌だなぁ。2017/04/29
さっこ
74
厚労省の向井俊介シリーズ第2弾。実父の犯した殺人事件の真相を追う記者。医療ミス疑惑を調査する厚労省職員。男子中学生が無残に殺された猟奇殺人事件を追う警察。それぞれが結びつくのは過去に起きた連続幼女殺人事件。トリックが多彩で事件の繋がり方が緻密でした。最後の最後まで引っ張られました。厚労省の職員が真相に辿り着くとか、警察頑張って!(笑) そんで…「カンディル」って何あれ??めちゃくちゃ怖いんですけど‼2021/02/07
papako
74
厚労省向井シリーズ。前作よりも素直にたのしめた。今回は医療事故を疑われた病院での元最高裁判事の息子の死から、連続殺人事件が浮かび上がってくる。そこに人権派弁護士の息子の誘拐殺人、過去の首切り殺人など複雑に事件が絡みあっているところを、向井がばっさばっさと謎解きしていく。凝りに凝ったトリック、そして、どんだけ冴えてるんだよ!ってくらいの冴えまくりの向井の推理が楽しめます。しかし、岡田恵がやだなぁ。私怨で冤罪ってありえない。この作者の作品では男女が幸せになる。きっとこの作者、いい人なんだろうなぁ。2017/03/27