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内容説明
会社は消えても、社員の人生は続く。1997年11月の山一證券自主廃業から今年で20年。多くの社員が再就職をしていくなか、最後まで会社に残って破綻の真相究明や清算業務にあたった後列の「しんがり」社員を中心に、同社の社員100人を取材。彼らはあれから20年、どんな言葉を支えに、どう生きてきたか。市井に生きる人々の何気ない言葉が胸を打つ。著者の代表作『しんがり 山一證券 最後の12人』の感動再び。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
115
廃業で否応もなく転機を迫られると、人間は大抵のことが出来るとモトヤマの人々は証明している。男性の多くは金融業界に残った一方で、男性優位に嫌気がさした女性たちはあらゆる職業に散らばった傾向が見られる。家庭で揉めた様子はあまりない、元々社内結婚が多くて辛さを理解できるのが一因かも。転職に行き詰まったら助け合うのもモトヤマの美徳だ。そこには他では律儀過ぎて浮いてしまっても、廃業の経験をバネにできる気概への強い信頼がある。人の山一のプライドはこうして後世に受け継がれていくのだろう。ドラマ化の宣伝意図を所々感じた。2023/11/13
きみたけ
57
著者は、山一證券破綻当時に読売新聞社会部長、その後読売巨人軍球団代表兼編成本部長を経験した清武英利氏。(私の中では巨人のイメージが強いです)山一證券破綻に関してすでに2冊の本を執筆しており、書き漏らした約200人の「清算社員」の苦しみ、女性社員や妻たちの物語、社員たちの再起の行方を追った一冊。清算業務センター長だった菊野晋次氏から送られた当時の清算業務記録が綴られた大学ノートをもとに、元社員たちへのアンケートも交えて書き綴ってます。300頁超で読み応えありですが、モトヤマの心の叫びが伝わりました。2023/11/09
Yunemo
31
2013年12月に「しんがり」読了。山一破綻から20年が経ったのですね。当時の金融破綻を目のあたりにして、もう日本の再生は無いんだ、とのネガティブな想いにかられたことを思い出して。本作の102人の想いにふれて、自身だったら、こうまで生き残れていないのじゃないかな、なんてことを心の内で想います。挫折の記憶を掘り起こして言葉にできた、ある意味吹っ切れた方々の想い、なのでしょうが、吹っ切れずに埋没してしまった方々がどれほどいるのか。ただただ、働くことは、人生の意義を確認すること、こう言って振返られる強さに敬服。2018/01/28
おいしゃん
28
山一證券倒産時に、最前線にいた百人による回顧録。経営陣への怒りはあっても、会社自体や同僚には未だに愛着持つ人がほとんどで、「人の山一」であったことを強く感じさせる。2022/03/13
楽駿
25
川崎図書館本。「しんがり」の関連本。金融再編の序章が、北海道拓殖銀行と山一證券の破綻だった気がする。ずっと、金融関係の末端でお仕事してきましたが、私の在籍していた信販会社も自主廃業した事があり、尚更に、興味深く拝読しました。常識的におかしな事が、まかり通っている会社は、やはり、存続はできないだろうって、言うのが、正直な感想。破綻をマイナスと思わず、前を向いた人には、それなりの道が開けたことが、何より嬉しい。自分自身で、道は切り開くしかない。その覚悟は、破綻のおかげで、私もできたもの。2018/03/24