内容説明
“算盤侍”唐木市兵衛を、北町同心の渋井鬼三次が手下とともに訪ねてきた。
岡場所を巡る諍いを仲裁してくれという。見世に出向いた市兵衛の交渉はこじれ、用心棒の藪下三十郎と刃を交えるが、互いの剣に魅かれたふたりは親交を深めていく。
三十郎は愚直に家族を守る男だった。だが彼には、ある罪を一人で背負い込み、藩を追われた忌まわしい過去があった。
三十郎は汚名を雪ぎ、妻子を守るため、秘策を決意した……。
人気快調のベストセラー・シリーズ「風の市兵衛」、白熱の第17弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
136
風の市兵衛「うつけ者の値打ち」17巻。今回も市兵衛さんの風の剣はサラットのような、もう少し迫力ある場面がほしいですね、三十郎さんとお津奈さん一緒に小料理屋をやらせてあげたかったかな、市兵衛さん少し行動が遅かったですね。2016/06/21
み
28
久しぶりの市兵衛さん、カッケー(^o^)鬼役さんと悪を退治って点では同じだが、こちらに爽やかさを感じてしまった…、ヒトは斬られているのに(>_<)次作は、算術メインがいいな。2017/04/05
はにこ
25
風の市兵衛シリーズの中で一番悲しい話に思えた。何もかも失い、裏切られた男が家族というたった1つの大切なものを守る為に命をはって市兵衛に用心としての依頼をする。三十郎はうつけだったけど、その三十郎を心底愛したお津奈の心の美しいこと!今回は市兵衛の剣さばきは控えめで、用人としての計算が光っていた。2021/01/24
お涼
25
シリーズ15作目。今回は剣を交えて意気投合した用心棒からの頼まれごと。雇われた形にしているけれど、友人との約束事を果たしただけと思っているような市兵衛が格好いいい。長屋のおかみさんたちの「お侍は何も稼いじゃいない。稼いでいるのは百姓やら漁師やら商人やらなんだから」って。今の世の中も同じ。【図書館本】2020/01/26
のびすけ
23
今回は市兵衛さんの活躍よりも、岡場所の用心棒・藪下三十郎こと戸倉主馬の生き様が胸を打つ、とてもせつない物語でした。不正の罪を一人背負わされ、国許を追われた主馬。貧しいながらも、妻・お津奈と幼子の三人で睦まじく暮らしていたのだが…。真実を知った主馬の悲壮な決意、市兵衛に託した思い、健気なお津奈の姿に涙が溢れる。最後に分かる「うつけ者の値打ち」の意味。小料理屋を開いたお津奈が幸せになってくれることを願ってやまない。2022/01/23