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内容説明
奇妙な方法で領国を拡大し続けている大名がいた。信長の「天下布武」とは真逆の「祿壽應穩」や「四公六民」といった旗印を掲げ、民との対話を重視し、その声を聞き入れ、彼らの命と財産を守ってやることで大国にのし上がった北条氏である。戦国時代に北条氏があったからこそ、われわれは人間の「善」や「正義」を信じられるし、あの時代にも民主主義に近い政治形態があったのだと思うと救われる気がする――(本文より)。本書は、北条五代の中でも傑出した実績を上げ、北条氏を躍進させた三代目北条氏康の生涯を描く。8万の敵を8千の軍勢で破った天才的軍略。江戸の泰平の礎を築いたともいえる理想的内政。その卓抜した手腕は、同時代を生きた上杉謙信、武田信玄が最も恐れたものでもあった。河越合戦はじめ数々の華々しい合戦はもちろん、「祿壽應穩」「四公六民」といった北条氏の領地統治策にいたるまでを詳述。戦や飢饉によって荒れ果てていた関東の地を、北条氏康がいかに平定し、「王道楽土」を築き上げていったか。その過程が本書で鮮やかに蘇る。戦国屈指の名将の素顔を生き生きと描き出す意欲作! 【目次より】●第1章 宗瑞と氏綱 ●第2章 若獅子登場 ●第3章 三代当主氏康 ●第4章 覇者への道 ●第5章 関東の覇権 ●第6章 氏康最後の戦い ●第7章 滅亡への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
153
図書館本。以前著者が最強大名と言っていた氏康。氏康だけでなく、早雲、氏綱、氏康、氏政、氏直の五代を書いてました。確かに民の為に国を築き上げるのはこの時代では異質。これが江戸幕府の礎となったのかな?現代にも通じる家訓は勉強になりました。氏康の小説、ドラマを見たくなった。2018/03/18
金吾
41
北条氏康を中心に北条五代の歴史を簡潔に書いています。北条氏の治世を民を守る善政としてとらえています。ラストの国際社会の話はやや飛躍しすぎかなと感じました。2022/07/03
中島直人
37
(図書館)北条早雲と並ぶ北条五代の英雄、北条氏康。政治にも戦争にも優れていたことが良く分かる。ただ、新書サイズだから致し方ないが、内容が薄すぎて物足りない。また、負けた側は、ここまで蔑ろにされてしまうのかと、歴史の怖さを改めて思い知る。2018/02/02
みこ
34
主人公となる作品が少ないせいか、上杉謙信、武田信玄のライバルでありながらやや地味な印象を持ってしまいがちな北条氏康の生涯について書かれた一冊。中世戦国期としては異例ともいえる民へ仁愛を貫くなど安定した領国経営に務めていたなど知られざる一面が多々あり。官僚組織がある程度安定するなど三国志の孫呉と通じるが、皮肉な面だが、その辺が地味な印象にとどまってしまうところも共通しているかも。改革者としての信長のメッキが剥がされつつある昨今、こういう多角的な面で様々な武将の政策に焦点を焦点を当ててくれるのは興味深い。2019/06/07
roatsu
32
名君と称えられる三代・氏康公の生涯と事績に焦点を当てつつ、戦国時代に約百年に亘り関東で繁栄した北条家の特異な興亡史を紐解く一冊。北条びいきには実に面白く、同家を鏡に捉え直す同時代の武田、上杉、織豊等勢力の姿も興味深い。地味でも着実に成果を上げる者は目立たぬが故にその凄さを評価されず、逆に一つの失敗で水に落ちた犬を叩くが如く騒がれるのが世の常で、北条家はこの典型で大分損をしているが本書が提起するような現実的で巧みな内政・外交・戦争政策は早雲寺殿廿壱箇条の様な普遍的な人生・処世訓と共に現代でも大いに顧みる価値2017/11/04