日本経済新聞出版<br> 錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来

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日本経済新聞出版
錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来

  • ISBN:9784532357313

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内容説明

★預金者から調達した資金が長期投資のために使われ、新たな価値を生み出すという、歴史的に続いてきた現代金融の仕組みはまさに「錬金術」だ。ところが、金融の「賢者の石」を追い求めるこの錬金術は、ハイパーインフレから金融破綻まで、経済に大惨事をもたらしてきた。市場経済の錬金術師である貨幣と銀行はなぜ、その「アキレス腱」になってしまったか。錬金術を終わらせて、健全な金融と経済を築くにはどうすればよいのか。

★著者は、世界金融危機を収拾した立役者のひとりであり、「錬金術師」とも評された前イングランド銀行総裁。その豊かな学識、歴史への洞察、中央銀行総裁としての経験をもとに、現代の貨幣・銀行システムが生み出す危険性に対して痛烈な警告を発する。そして、大恐慌の再来を防ぐための新たなアイデアにもとづく金融システム、経済政策への移行を提示する。主流派経済学とは異なる観点からの大胆な問題提起のため、刊行されるや、メディア、学界などで議論を呼び起こしている。

★著者は、安定した将来見通しが得られない不確実性と経済の不均衡が常に存在する現在、従来の金融の仕組みでは、必ず危機が再来すると警鐘を鳴らす。そこで、中央銀行の果たすべき新たな役割、危機を引き起こさない銀行システムを提案。世界経済の不均衡を原因とする、迫り来る危機に対処するには、短期的な処方箋である金融の量的緩和政策では効果がなく、新たな思想にもとづく経済学と政策の仕組みが必要だと力説する。

★『ライアーズ・ポーカー』『マネー・ボール』著者、マイケル・ルイスが「この本が十分注目されれば、世界を救うかもしれない」と大絶賛。「経済学の本で、これほど知的興奮を覚える本に出会うことはめったにない――目がくらむほど、本当にすごい」(ジョン・プレンダー、フィナンシャルタイムズ紙コラムニスト)など、高く評価されている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mc6ρ助

3
部分部分は理解できていると思うのだが、全体を把握できているとは言い難い。『リスクとは、将来起りうる結果がどのような性質を持つものであるかを厳密に定義できて、過去の経験をもとにその事象が発生する確率を与えられる事象をいう。・・・ひるがえって不確実性は、将来どのような結果が起こりうるかをすべて定義するのはもちろん、想像することさえできず、したがって発生確率を与えられない事象をいう。 (p156〜8)』経済危機が不可避な不確実性に起因するのならば著者のように楽観的に先行きをとらえることもなかなかに敷居が高い。2017/09/26

田中太郎

1
名著。貨幣、銀行システム、金融財政政策、マクロ経済的な国家間のバランスをすべて統合して議論している。しかもそれを、数式を使わずわかりやすく説明している。根源的な指摘は、主流派経済学はリスク要因の発生確率分布が計測できることを前提にしているが、それでは現実を説明できないこと。経済には予測できない不確実性が存在するため、計測可能なリスクに基づく合理的行動という仮定は成り立たない。例えば、マイナス金利を深掘りしても、人々が不確実な悪い将来を期待すると、消費は刺激されない。内容が広範すぎてメモし切れない。2020/09/07

まめタンク

1
2020年239冊目。2020/08/24

hidek

1
本書では不均衡・不確実性・囚人のジレンマ・信頼の4つを軸に世界経済の現状を説明している。安い労働力を背景とした中国などでの貿易黒字拡大。それが期待収益の高い途上国で使われず、先進国の長期金利を押し下げ、不動産など資産価格を引き上げる状況が続く。それが国家間、資産を既に持った高齢者と若者の間の不均衡に拍車をかける。また、金融危機を経験し将来の所得成長期待も萎縮している。この問題への対処は更なる緩和では無く、不均衡の解消だ。それには囚人のジレンマを避けるため各国が協調して、その解消に取り組む必要がある。2017/09/30

Mikatas

0
金融機関の過小資本に着目する論調。内容はよくまとまり、過激すぎない論調でいい感じ。だがしかし、この手の本は10冊くらい読んで食傷気味なので、途中で投げた。 ROE的な観点もあるので金法は増資を嫌うけど、金融危機再発防止のためにも(事業会社的な計数法での)自己資本比率を上げる気になってくれるといいのだけど。2017/12/20

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