岩波新書<br> 大学とは何か

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岩波新書
大学とは何か

  • 著者名:吉見俊哉
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2017/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004313182

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内容説明

いま,大学はかつてない困難な時代にある.その危機は何に起因しているのか.これから大学はどの方向へ踏み出すべきなのか.知のメディアとしての大学を,中世ヨーロッパにおける誕生から,近代国家による再生,明治日本への移植と戦後の再編という歴史のなかで捉え直し,大学の理念を再定義する画期的論考.

目次

目  次

 序章 大学とは何か

 第Ⅰ章 都市の自由 大学の自由
  1 中世都市とユニヴァーシティ
  2 学芸諸学と自由な知識人
  3 増殖と衰退──大学の第一の死

 第Ⅱ章 国民国家と大学の再生
  1 印刷革命と「自由な学知」
  2 「大学」の再発明──フンボルトの革命
  3 「大学院」を発明する──英米圏での近代的大学概念

 第Ⅲ章 学知を移植する帝国
  1 西洋を翻訳する大学
  2 帝国大学というシステム
  3 「大学」と「出版」のあいだ

 第Ⅳ章 戦後日本と大学改革
  1 占領期改革の両義性
  2 拡張する大学と学生叛乱
  3 大綱化・重点化・法人化

 終章 それでも、大学が必要だ
   あとがき
   主な参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねこ

120
前半は12世紀後半、中世ヨーロッパで誕生した「大学」の遍歴や国、宗教と関わりや盛衰などがあり、中盤は日本に於ける大学。最初の大学は東京大学なのですね。後に私塾である慶應義塾が大学へとなり、様々な大学が誕生していく。そして大学と出版社の相互依存。代表格は岩波書店。後半は大学改革であり、学生反乱、大学拡張と学力低下など。全体的にかなりお堅い本です。…「人類の知的遺産の物的な結晶」としての「古典」を「読み、考え、対話し格闘することによって「理想」や「憧れ」の内実を改めて知的に理解することができる」は秀逸な一文。2023/03/31

超運河 良

22
教育は時代に応じて変化していく。戦後は皆で助け愛ながら発展していく時代、今現在は助け愛、協力という部分をなくして競争によって上に行く弱者切り捨て型の教えを広めて多くの学生が同じ思想をもって量産型のとして社会に出されて行く。大学とは学生向きの人が最後の4年間で社会向きの人に変えていくことでより豊かな社会を作り上げていく人財を育てていくことがこれからの時代の教育になる。自由奔放というイメージが教育から皆で協力してたくさんの経験ができる機関に変えていくことで世の中はこうですよって身を持って教えると楽しくなりそう2015/11/22

浅香山三郎

18
大学の起源から現在までをまじめに位置付け、大学といふシステムの未来を考へる。国家よりも古い起源をもつヨーロッパの大学とは違ひ、国民国家に支へられてきた日本の大学の特質を指摘。近代国民国家と連動した「教養」ではなく、中世の「自由学芸」に近い新たな知の再構造化にひとつの方向性を見出してゐる。2020/07/26

かんがく

13
中世都市の大学の誕生、近代国民国家における大学の復活、日本における明治〜現在の大学の変化。この3つを中心に大学とは何かを見ていく。教養が衰退し、学生の質が劣化しているのは悲しい。学問・研究の場である大学と、職業のための高等教育機関を分けるべき。2019/09/07

gogo

12
中世以来の西洋における大学の歴史と、明治期以降の日本の大学の歴史と現状を概観した新書。このうち前者の概説は、同筆者による『「文系学部廃止」の衝撃』の中盤とかなり重複している。本書を先に読むべきだった。筆者は、今日の日本の大学が、私塾、帝大、専門学校、米国式大学院などを加算し、折衷させた姿であると述べている。本文では書かれていないが、その歪みが、今の大学が抱える問題の根源にあるのだろうと思った。2016/03/17

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