内容説明
2012年秋、しっかり者だった妻が認知症と診断された。ドラえもんだった自分を忘れてしまった妻、大山のぶ代と、妻の介護に徐々に追いつめられる夫、砂川啓介。老々介護の現実を赤裸々に綴り話題を集めた本書がついに文庫化。出版後、夫は癌を患い、妻は老人介護施設へ……。夫妻の今を綴った「その後の2人」も特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
40
ドラえもんの声優だった大山のぶ代の夫である著者が、アルツハイマー病を発症した妻を介護。病状を公表することで苦悩から解放され、妻への愛情を新たにする記録。 「子どもはできなかったが女には不自由しなかった」と豪語していた著者であっても、晩年は認知症の妻に心身を引き裂かれ、誰にも相談できない孤独に苦しみ、「決してペコ(妻のぶ代の愛称)より先に死んだりしない」と記した2ヶ月後にガンに侵されて力尽きます。身体が自由に動く間に何を残せるか。個人に与えられた時間が有限であることをここまで冷酷に突きつける本を知りません。2020/02/03
ばんだねいっぺい
25
砂川さんの素直な人柄が伝わってくる。夫婦の馴れ初めはまるで映画のよう。後ろめたさもありつつ、変化を受け止めてく姿が描かれている。マムシさんは、かっこいいなぁ。さぞかし、無念だったんだろうな。2017/08/05
Koji Takahashi
8
【5人に1人か認知症】 どこにでもあり得るけど、なかなか知ることが無い話。 切なさと覚悟 最期まで「役割」があった砂川氏は幸せだったのだろうか?2017/08/06
☆こまトゥーゆ☆
4
愛し愛された夫婦なんだな。ほっこりする。素敵な夫婦、。年齢には逆らえない病気や死、家族の変容と向き合った本。2017/07/09
Haruka
4
共に笑い、共に泣き、手を取り合って苦楽を共にしてきた人が目に見えてわかるように老いていく姿を見続けるのはどれほどの苦しみか、経験した人でなければわからないんだろう。これは砂川夫妻だけの特別なことではなくて、誰にでも起こり得ること。 悩みながら、足掻きながら、それでも奥様の手を離さず最期まで共に生きることを選んだ砂川さんは、大山さんにとって自慢の旦那さんなんだろう。2017/06/05