梁塵秘抄

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梁塵秘抄

  • ISBN:9784062924405

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内容説明

遊女や巫女など、歌や舞いを生業として諸国をめぐり歩く女たちが歌い継いだ流行歌「今様」。後白河はそれら、やがて消えゆく「声わざ」を蒐集し、「梁(うつばり)の上の塵も動くほど妙なる歌」という意味の名前をつけた。それが梁塵秘抄である。法皇をも虜にした、アウトサイダーたちの歌うたの調べを、稀代の古代文学者が耳をすませて読む。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

AN

21
平安時代に遊女と呼ばれた歌や音楽の職人達が残した今様という当時の流行歌の歌集の解説本。この今様が好きだった後白河法皇が、遊女に弟子入りして歌の歌い方を習い、この本を編ませたという。法皇を虜にした歌は、読み人知らずの歌ではあるが、平安時代の民衆や、アウトサイダーだった巫女や遊女達の気持ちや遊び心、そして四季折々の感性に溢れている。恐らく有名なのが「舞え舞え蝸牛、舞わぬものならば」で始まる一句と思われるが、生き生きとした日常が垣間見れる作品が紹介されている。平安時代の貴族達が編んだ和歌とはまた一味違うもので、2023/06/25

ホシ

19
平安末から鎌倉初期にかけての流行歌を後白河院が編ませた『梁塵秘抄』▽本書はその解説本。当時は末法思想が蔓延った時代で、仏教かぶれの私としては仏教界から見放されていた民衆がどのような思いを持ち、暮らしていたのかを知りたくて読む。動乱の時代、民衆は”破れかぶれ”だったのかもしれない。その素朴で実直かつ力強い民衆の歌は、上皇をも狂わせるほどのパワーを持っていたのだろう。後白河院の今様への耽溺ぶりはまさに異様だ。▽仏教好きの私としては「悪人正機の夜明け」を見る歌にいくつか触れる事ができ、心が温まる思いだった。2018/03/04

きみー

5
平安末期の混乱の時代にうたわれた今様のいくつかを詳細に解説した本書。溢れる言葉への探求、時代を見つめる眼差しに心打たれました。貴族社会ではなく、あくまで民衆の歌であった作品だからこその面白さがあるように思います。2017/09/08

月音

2
厳選された歌と解釈の他に、歌謡史・風俗史にも視野を広げた解説・論考が絶妙。遊女や巫女たちが歌った今様は繊細優美な和歌と違い、庶民の暮らし、思いを伝える。男女の恋のもつれや親が子を思う情、子供の無邪気な遊び、労働のつらさ…。後白河院が熱中したのも、自分とは違う世界で素朴にしたたかに生きる者たちへの羨望があったのだろうか。詩歌を文字情報として受けるとき、そこに付随する旋律は消える。記紀歌謡、催馬楽の歌詞と比較することで歌詞と音楽との相関関係を見る論考や、「空に澄みのぼ」ったという遊女の声に失われた旋律を思う。2022/12/10

アル

2
個々の歌に注目して丁寧に読み解いていく第一部、今様を実際に歌ってた人々への視点を中心に解説した第二部、という構成。 全体に、今様(と、付の神楽)について実際に歌い、踊られたものであることを強く意識した内容となっている。 京童が子供ではないことは知っていても、童謡(わらべうた、わざうた)が子供の唄とは限らない、という指摘は盲点だった。2022/06/03

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