内容説明
これを読まずして貴志祐介は語れない!
『黒い家』『悪の教典』『新世界より』『鍵のかかった部屋』……あの緻密な作品群を生み出した知性の意外な素顔とは。
ホラー、ミステリ、SFなど幅広いジャンルにわたって、挑戦的な作品を書き続けている著者による、デビュー以来の全エッセイから精選したエッセイ集。
作家としての思索や社会への提言のみならず、ある時は、小説もびっくりのホラーな出来事を、ある時はブラックなユーモアを、ある時は謎の日常生活を、ある時は溢れる野球愛を、絶妙な文章で綴っています。
謎多き“エンターテインメントの革新者”を、より知るための一冊。
文庫特別収録として、韓国での講演会の原稿「文学におけるヒューマニズムと悪について」収録。エンターテイメント作品という立ち位置の中で、なぜ大量殺戮などを描くのかが、明晰に述べられた名講演です。
【目次】
悪役の特権/なぜ緑色の哺乳類はいないのか/なぜ、エスパーは、少女でなければならないか/偽ドキュメンタリーの真実/極悪鳥/私は監視されている/スッポンの首/チェスボクシング/下品なスーパーヒーロー/台湾の夜市/思い出の『エクソシスト』/異形のまなざし 等
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
80
「黒い家」や「悪の経典」を書いている作家のエッセイ集なので、どんな内容か気になったが、ごく普通の人だった(趣味の範囲が広い)。デビュー前、保険会社に勤めていて、その経験が「黒い家」のプロットの参考になったというのは、大いに頷けた。作家は大抵本好きだが、貴志さんの読書量は特別。作家デビューし、先の見えない状態で会社を辞めて、苦しい生活が続いたとあるが、それでも読書量が落ちていないのは大変だと思った。好きな作家の一面が覗けて、楽しい読書だった。大きな新作がしばらく出ていないので、そちらも期待します。2017/06/22
えっくん
31
★★★☆☆貴志さん初のエッセイ集。豊富な語彙と技巧的な文体から、国語の受験問題にも出てきそうな文章もありました。貴志作品の原点にもなっている多種多様の生物の話、台湾紀行、四万十川でのキャンプ体験も印象的です。貴志さんも読書好きなだけに「すごい」を連発するほどお気に入りの本を紹介されていますが、本屋に通い立ち読みしながら長編を読了してしまった話も驚きです。熱烈な阪神タイガース・愛で貴志さんの新たな横顔を垣間見えたエッセイでした。それにしても「スッポンの首」「私は監視されている」の話はもはやホラーですね。2022/03/17
みなみ
22
貴志祐介のエッセイ集。ホラーっぽい話もあれば、旅行記もあり、作品の裏話もあってバラエティ豊か。早口言葉を自分で作ったり、小説のために実験をしたり何だか少し変わった人という印象。でも、目の付け所や色んな方面の知識の広さはすごい。「新世界より」での記載のこだわりには全く気付いていなかったので、もう一度読み返したくなった。2020/07/16
ちろ
22
面白かった〜!ミステリアスなイメージを持っていた貴志さんの頭の中が覗けてうれしかった。品とほんのり毒もある貴志さん独自の鋭い視点や、ユーモラスな話に、読んでいて小躍りしたくなるエッセイ集でした。貴志さんが阪神タイガースファンなのは知らなかったです。甲子園球場の試合中に打席に誰が立っているか、窓を開けたらわかる距離に住んではるらしい。ほんまもんやw2017/04/18
ちょん
20
エッセイとは思わずに購入。タイトルと表紙から勝手に色々想像してたのでちょっと残念だなーと思いながら読み始めたら…声に出してツッコミ入れたくなるくらい面白かったです(笑)インタビュー部分や絵画の解説はあまり魅力を感じなかったのですが、その他は本当に笑った笑った✨改めて貴志さんの作品も読みたいと思いました😊2023/01/19