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内容説明
漱石がわかる。小説がわかる。近代がわかる――画期的な文学入門書の登場! 漱石の作家活動とは読者との闘争だった! 新聞小説の読者である大衆をどう喜ばせるか。本郷文化人に自らの小説観をいかに伝えるか。漱石は作品ごとに大胆な実験を次々と行なった──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
石原先生の漱石の作品に関する評論ですね。私はむかし今から60年以上も前ですが、「吾輩は猫である」を読んで虜になった覚えがあります。その後全集(岩波版)を読んだりしてきましたが、ここ数十年はほとんど読んでいません。漱石が朝日新聞の専属作家となった事情やあまり今のようにたくさんの読者がいなかったということで三人の読者(三種類の)という観点から分析されています。漱石自身が評価しない「虞美人草」などを読み直そうかと思いました。2021/02/17
佐島楓
47
「虞美人草」と「それから」において、大きな示唆をいただいた。こういうふうに近代文学を読めばよいのだな、と勉強になった。2016/04/23
風に吹かれて
21
単行本が少ししか売れなかった時代、漱石はどういう読者に向けて書いていたのだろうか。 石原氏が「仮説」を立てた。「顔の見える読者」、「何となく顔の見える読者」、「顔のないのっぺりとした存在としての読者」。具体的には、漱石の周辺にいる読者・東京帝国大学周辺の読者、朝日新聞を読んでいる読者、単行本を読む読者。➡2021/02/12
fseigojp
18
漱石フリークとしては、むちゃくちゃ面白かった。とりわけ三四郎のミネコとの出会いの解釈は震えがきた。2015/08/23
おおにし
17
朝日新聞に「こころ」の連載が再現された時、この小説は新聞小説だったことを改めて認識した。漱石は新聞購読者向けに小説を書いていたのだが、同時にはっきりとした自分の読者である門下生たちや、単行本になった後未来にわたって読まれるであろう未知の読者までを想定して、重層的な構成となっていたという石原さんの漱石論はとても面白かった。確かに「三四郎」を読んだ時に感じた違和感は、私のような漱石にとって未来の読者には死角となる部分だったかもしれない。2016/03/12