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内容説明
福島第一原発の事故で放出された放射性物質の総量は、ヨウ素換算値で約90京ベクレル。途方もない量が海や陸へ降り注ぎ、「放射能汚染ゴミ」となった。本書では、これらのゴミが、どこにどのような状態で存在するのかを調査した。そこで明らかになったのは、我々のすぐ身近な場所で、驚くほどずさんに処理・保管されている実態だった。一方、この放射能汚染ゴミが今、道路建設などの公共事業で地下に埋められようとしている。そうなれば日本中に放射性廃棄物がバラ撒かれ、史上類を見ない公害に発展する可能性がある。なぜこのようなことになったのか。その真相に迫る。【目次】はじめに/第一章 すでに隣にある放射能汚染ゴミ/第二章 放射能汚染ゴミのずさんな管理/第三章 誰が「八〇〇〇ベクレル」を持ち出したのか?/第四章 密室で決められた放射能汚染ゴミの再利用法/第五章 それでも放射能汚染ゴミを公共事業で使うのか?/おわりに
目次
はじめに
第一章 すでに隣にある放射能汚染ゴミ
第二章 放射能汚染ゴミのずさんな管理
第三章 誰が「八〇〇〇ベクレル」を持ち出したのか?
第四章 密室で決められた放射能汚染ゴミの再利用法
第五章 それでも放射能汚染ゴミを公共事業で使うのか?
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
16
日本がいかに放射能汚染ゴミをでたらめに“処理”しようとしているかがよく分かる本です。放射能汚染ゴミの取り扱いの「制度化」の経緯があまりにも不透明で、著者の粘り強い取材には頭が下がります。議論の内容を公表せず、国民の意見を聞かず、文書での記録もまともに残す気はなく、どう考えてものちのち「誰も責任を取らない」のは明白です。ダブルスタンダードだらけで全く整合性がとれていない放射線防護基準やゴミ処理基準を放置したまま、「復興」という言葉が安易に飛び交う日本社会の、なんとグロテスクなことか…。2017/07/21
coolflat
14
原発事故以前から放射能によって汚染された廃棄物をリサイクルする基準は存在していた。これをクリアランスレベルというが、これは放射能を帯びた金属やコンクリート、ガラスなどを、放射性物質として扱う必要がなくなる基準である。その基準は放射性セシウムで100Bq/kgのままなのであるが、環境省は原発事故によって生じた汚染ゴミについてはその80倍も緩い基準によって、公共事業で再利用しようとしている。なぜか。それは再利用しなければならないほど放射能汚染ゴミが膨大に発生しているためだ。そしてその主たる発生源は除染土である2017/07/06
sasha
6
放射能ゴミを「資源」とか言い換えて「リサイクル」しようなんてさあ、環境省ってやっぱりおかしいでしょ。公共事業に使って日本全国にばら撒こうって?しかも曖昧な基準まで作っちゃってさ。素晴らしいよね、政治家も官僚も「だれも責任を負わない」システムって。放射能ゴミって「再利用」するもんじゃないだろう。厳重な管理の下で保管するもんじゃないの?2020/05/18