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内容説明
30年代の「世界恐慌」。その原因や対処法をめぐりケインズとハイエクは論争を繰り返した。リーマンショック後の「世界的経済危機」の核心を探るため、経済学史に偉大な足跡を残した知の巨人の共通認識と対立点を徹底比較する。資本主義に社会主義的な計画経済を導入したケインズ、自由主義経済の擁護者ハイエク。「貨幣・価格・生産」「慣行と模倣」「便宜と法」などの論争は現代的示唆に富む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
43
いい本でした。ここのところ経済学の新書を多めに読んでいたものの、ついに登場した数式に一瞬たじろぎましたが、意外に数式ある方が腑におちるかも。ハイエクって昔、佐藤優の本を読んでたときに出ていたのに「知らねえな」で済ませていた人だし、先日読んだ経済思想史の新書でも扱いが雑でしたが、すごく多面的な人だと分かりました。そしてケインズはやはり『一般理論』読むべきだな、と。あとがきでスミス、ケインズ、ハイエクの文脈から低金利政策を批判してますが、これも検証に値すると思います。2020/05/17
kk
18
最近、ちょっとまじめに経済の話を復習しようと思い立っているkk。「経済学って言ったらやっぱケインズとハイエクだよな。この本ちょうど良いや」ってなノリで、この二人の理論の入門書だろうと思って読んでみたんですが、まぁ、なんというか、それはそれはガチな内容で、かなり苦労して読みました。この二大巨星の思想の違いが如何なる市場観・自由観に由来しているか、そしてそれが経済思想の歩みに如何なるニュアンスをもたらしたか、みたいことが書いてあるようですが、正直言って、kkには半分も理解できたかどうか。顔を洗って出直します。2020/06/23
masawo
13
中盤まで小難しい経済学の話が続くのでしんどかったが「頭のキレる行動派」ケインズと「コツコツ地道な研究者」ハイエクを比較しつつ、経済学の枠に収まらないハイエクのスケールのデカさを見せつけられた。一風変わったハイエク入門書といった趣き。2021/08/18
かみかみ
9
ケインズとハイエク、経済思想について持論を違えるも20年近くの交流があった2人の経済学者の理論を対比しつつ解説する。両者とも純粋な経済理論だけでなく社会にも思索を深めていたことがわかる。難易度は高めだったので、ほぼ斜め読みだった。2021/09/18
ミスター
9
有益な入門書。ケインズの方こそある種の国家による統制を擁護しているわけだから、市場を信頼していないように見えるが実際はそうではない。ケインズにとって公共投資とは市場を活発化させるための便宜的な措置であった。他方でハイエクは市場を擁護している点ではケインズに近いが、ハイエクの方が市場を信用してないから「法」にいく。もっと正確にいうとケインズが投資家のインセンティブに雇用の創出を見ているのに対して、そこで言われている投資家以上に全体のプロセスとして市場の活性化を擁護しているのがハイエクである2020/10/18