内容説明
石岡和己、犬坊里美、そして加納通子――。雪に閉ざされた龍臥亭に、8年前のあの事件の関係者が、再び集まった。雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫女の謎! 貝繁村に伝わる「森孝魔王」の伝説との不思議な符合は、何を意味するのか? 幻想の「龍臥亭事件」が、いま、その幕を開ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中原れい
67
やっと辿り着いた『幻想』。タイトルと書きだしから普通と違うのかと思ったけど、安定の、絶好調の島田節です。石段の上に廊下を作ると結構急な坂になるよね?険しいね。っていう確認もできつつ下巻へ。まだミタライも出てきてなくて石岡さん奮闘してます。2019/08/15
Small World
42
久しぶりに龍臥亭を訪れました~。作中では8年経ってますが、自分は10年以上ぶりですね。w 御手洗潔シリーズの本シリーズはけっこう読んでいますが、シリーズコンプを目指していこうと思ってます。外伝的な作品は、あまり手に取ってこなかったので、そこら辺を埋めていきたいです。上巻では、石岡君がいつもよりシッカリしてる感じで、下巻に進んでいきます。2018/08/01
Tetchy
42
前作『龍臥亭事件』に引き続き、業の深さが主題になっている。閉鎖された村社会に伝わる因習。妄信のように今に伝わる差別。主従関係の厳格さから生じる男と女の色の縺れ。また物語の主軸となる森孝魔王の伝説は『魔神の遊戯』同様の弱者救済の話で、デビュー以来、島田が一貫して扱ってきたテーマだ。とは云え、前作に比べると比較的内容は明るいようだ。特にミチはあの事件で吹っ切れたのか、ちょっとおとぼけな感じが出ていて意外だった。そして上巻最後は豪腕島田健在振りを示すほどの破天荒ぶり。本当に解決するのかぁ!?2010/01/11
勇波
34
龍臥亭から続けて本作に。8年経ってるとの事。そこそこ皆さん歳食ってるはずですがそんなに変わってない。里美ちゃんの喋り方なんぞ高校生のままだし。しれっと何事もなかったかのように犬坊育子さんがいるのも不思議。前作よりは軽い感じで読めて楽ちん。どんな幻想を見せてくれるのやら下巻に期待★2021/01/26
シルビー
34
龍臥亭事件より8年。かつての関係者達が集う……。ここまで聞くと事件の予感しかしないですが、蓋を開けてみるとただの同窓会でした(笑)とはいっても、別の事件は当然発生しますが……。今回は内容よりキャラに注目。普段は頼りない石岡が今回は行動的。また黒住青年に対する叫びは前半屈指の見どころ。里美は里美で司法試験に受かったということでその真価を発揮。御手洗シリーズだと法律家の観点から事件を見ることが少ないので貴重なキャラとなりました。事件自体はまだまだ始まったばかりですので下巻に期待です。2018/09/18