内容説明
ゲノム編集をはじめ生命をめぐる技術は猛烈に進歩する一方、唯一の生存空間である地球環境は好転しない。今こそ「生きていること」の本質を理解し「自然誌」の視点を取り戻すとき──。日本の発生学をリードしてきた著者が、生命科学の基礎から最前線までを簡潔に解説。命の精妙さと意外な危うさを解明する力作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はとむぎ
12
NHKブックス やっぱり良書が多い。発生学を通して生命を考え続けた著者が、生命の基礎から最先端まで教えてくれる。生命は安定と不安定を内在している。ヒトは、弱い個体に対し思いやりを持てる唯一の種である。知的好奇心が多いに刺激された。サメの仲間に400年近く生きた個体が発見されていたことにびっくりした。2022/05/29
色々甚平
5
高校で生物をとっていなくても、ちゃんと読めばわかるようになっているとあとがきで書かれている通りのバランスで、要約しすぎず、しっかり読める内容になっている。今の科学でわかっている部分とわかっていない部分も知れるので今後の発展もわかりやすい。細胞の安定を科学で補強しながら求めすぎるのは結局不安定化に繋がったり、老化が解明されていなくて、不安定になった臓器を交換し続けるのが幸福に繋がるのだろうか。という幸福論にもつながる。知的好奇心があるなら読んでほしい一冊。2020/03/29
とりぞう
2
「老化の研究では20世紀半ばから、血液に関して非常に興味深い研究が行われてきた。それは、若い個体と老いた個体の血液を交換するという実験である」なんて話など。「老いた血」は、比喩としても、そのまま実在としても「迷惑」な存在であるらしいよ(笑)。とてもおもしろい本だった。2022/06/01
6ちゃん
1
「生物は常に不安定化する要素を備えつつ安定化を強く志向する」という視点から、分子レベルから個体全体レベルに至るまでを一気に解説している。これほど平易にかつ包括的に生物を解説した本を知らない。図書館で借りた本だが、書棚に入れて生物学のリファレンスとしたいほど。 安定は生物が種を保つために絶対に必要だが、周囲環境の激変による種の存亡を乗り越えるために不安定要素を残している、という事実は、人間社会の存亡を考える上でも非常に示唆的だ。人類史を遥かに超える生物の基本構造の研究から今後も目が離せない。2018/06/08
takao
1
うーん。2017/03/16