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内容説明
地方創世を問う傑作ノンフィクション。
「地方から世界へ」のスローガンを掲げ、キャリア官僚・溝畑宏の熱意によって創設されたプロサッカーチーム大分トリニータ。宴会では裸踊りも辞さないドブ板営業で溝畑はスポンサー集めに奔走。ついにはW杯の大分招致を果たし、さらにナビスコ杯を制しチームは日本一に。しかし翌年チームは経営破綻し溝畑は社長を辞任、その後はチームも低迷し、2015年にはついにJ3に降格した(昨シーズンにはJ2復帰を決めている)。
Jリーグ屈指のホームスタジアムを持ち、充実した育成システムで日本代表選手も数多く輩出、一度は日本一にも輝いたトリニータが迷走した理由は何か。溝畑はなぜ追放されたのか。チーム創設から現在までの22年を追うことで、地方でのプロスポーツチーム経営の難しさ、ひいては日本の「地方創世」の実態が見えてくる。ベストセラー『オシムの言葉』の著者が2010年に刊行した傑作ノンフィクションに、その後の取材を加えた増補版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
29
道なきところに道を、恥も外聞もなく一生懸命心血注いで作った男が、正当に評価されることなく悪名を背負うのはいかがなものか。 男気溢れる人たち。朝日ソーラーの林社長やペイントホームの星野社長、マルハンの韓会長などの熱い生き様にもまた、感銘を受けた。 「夢を売る会社が主導権を一度リーグや銀行に握られてしまうと立て直すのは、容易ではない」の言葉が突き刺さった。 男の嫉妬はみっともない。尊敬できる人々とそうじゃない人々がたくさん出てきた本だった。今年、現時点のベスト2017/02/12
Saku
8
Jリーグクラブのサポーターをしていれば、当時の大分トリニータのゴタゴタは聞こえて来ていたけれど、内部ではこんなことが起こっていたとは。全ては溝畑氏が大分に赴任してきたことに始まって、行政を巻き込んでワールドカップの会場誘致、その後のクラブチーム作りを溝畑氏が一人で抱えていたのがわかる。ただ、市民や財界の理解を得ることを後回しにしたせいで、クラブ経営は自転車操業になってしまったようだ。スポンサーもベンチャー企業が多かったし。チーム名が政界、財界、市民の三位一体を示すトリニティから来ていることがすごく皮肉。2017/09/17
Iwata Kentaro
5
献本御礼。むちゃむちゃ面白かった。ぼくはここ数年のトリニータしか知りませんが(海外生活のせいもある)、とにかくすごいですねえ。良くも悪くも強烈な人物は、とにかくドキュメンタリの題材としては最高です。2020/05/28
ぼっつ
3
他サポとして読ませてもらった。あくまでも中立的立場として、溝畑宏の大分トリニータ設立からの奮闘を記している。連れてくるのは何かと怪しい県外のスポンサーだったり、大分FCを粉飾決算に追いやったり、辞任即観光庁長官就任と良い印象はない同氏だが一部の事実だけで人を判断することの危険性は知っておいた方がいいと思う。現在も大分トリニータを愛す同氏はなぜ、選手や周りから愛されているのか。そこには大分への多分の情熱があったことは残念ながらあまり知られていないだろう。Jリーグを愛する者にとっては非常に興味深い一冊。2017/02/09
koishikawa85
2
とても面白い。2022/06/15