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内容説明
トヨタ生産システムは、その多くが「ルーティン」によって支えられている。ワールドカップ・ラグビーで一躍脚光を浴びた五郎丸選手の独特なポーズを伴う「ルーティン」同様、トヨタを理解するにはその「ルーティン」を理解するしかない。
本書は、トヨタの専門家の指導方法の背後に、武術のカタ(型)と同様の基本動作があること、その基本動作のベースにあるメカニズムの解明に成功している点で画期的だ。
トヨタの「カタ」には、「改善のカタ」と「コーチングのカタ」がある。「改善のカタ」の特徴は、不確実性を前提としたイノベーションの進め方にあると著者はいう。
欧米流マネジメント思考の結果主義では、「何をしてもいいから、とにかく結果を出せ」という態度になる。これに対し、トヨタではプロセスを改善し続けるために「改善のカタ」を使う。
著者は、このプロセスの改善が、イノベーションの方法となっていることを明らかにする。
従来のトヨタ本は、大半が個別のテクニックを語るノウハウものか、抽象的な概念をそのまま語っているものの両極端だった。本書は、具体的な改善の推進方法をそのメカニズムから理解してもらうというユニークなものだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nizimasu
2
ビジョンからPDCAサイクル、そしてカイゼンの流れが著者の丹念な研究によってわかる。実はこの本の一番の驚きはカイゼンを形式知では暗黙知の中で捉えていて後半に結構、コーチングの話が出てくるのが意外だった。この世代を超えて伝えていく部分では形式知(見える化)としてのカイゼンを考えていたのが完全に暗黙知を教え込むというこれは日本の企業のかなり独特な経営方式なのだなと納得。このあたりを読み解く著者が外国人だったり日本の経営についてドラッカーが指摘したりと日本の学者ももっと頑張れとおつい思ったりして… 2016/05/23
ゆういち
1
訳本は、やはり読みにくい。しかしその内容は、どのように成果を出すべきかがわかりやすく書かれている。改善のカタを回せる人材を育てるコーチングのカタ。べーすとなるものをきちんと考え切り、それを回し続けることのできることがトヨタの強みなのだろう。並みの会社(その他すべて)では、回し続けられないことも継続できるということにすごさを感じた。2016/07/03
とび五郎
0
トヨタの中で働いている人達には逆に見えにくくなっている自分達(トヨタ)の暗黙知、それを「カタ」という概念で捉えて欧米人に分かるように論理的な説明を試みようとした作品。イチローにもプレパフォーマンスルーティンがあるように、習慣、癖というレベルに定着しているルーティンはいわばその人・組織の拠り所になる。トヨタの思考や行動様式に見て取れるカタが改善し続けるための根幹で、組織の文化を変えるには、スローガンや小手先の方法論だけでなく、経営層まで含めた構成員の一人ひとりが日々実践するカタから変える必要があると説く。2017/06/22
Kenji Hiranabe
0
生産でなく手法でもなく、コミュニケーションの仕方やコーチング、マネジメントシステムに焦点を当てた本。ドイツの著者というのが珍しい。稲垣さん訳、John Shook 監修です。2016/06/05
Kanetaka M. Maki
0
トヨタ生産方式の入門書2023/07/26