講談社文芸文庫<br> 白痴 青鬼の褌を洗う女

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講談社文芸文庫
白痴 青鬼の褌を洗う女

  • 著者名:坂口安吾【著】
  • 価格 ¥1,353(本体¥1,230)
  • 講談社(2017/01発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061960503

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内容説明

“戯作者”の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された“肉体”の共存――可能性を探る時代の補助線――感性の贅肉をとる力業。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんらんしゃ🎡

51
[青鬼の褌を洗う女] 性においても自由奔放なその女は、男の間をあっちへふらふらこっちへふらふら。揺れる身体には免震オイルダンパーを付けて少し落ち着いたらどうだ。もっともデータ改ざん装置では効果のほどは分からないが。しかしそんな彼女はKYBだ。気の向くまま、揺れてるようでその本質は、母性。2018/10/18

ja^2

11
「青鬼の褌…」のみ。老境の孤独に耐えきれずサチ子という禁断の実を口にした久須美は地獄の苦しみを味わうことになる。それはある意味当然だ。▼サチ子とは空間を共有できても、時間を共有することはできない。寂寥感はかえって増すばかりだが、だからといって手放すこともできまい。彼はまさしく地獄を徘徊する青鬼である。▼だが、その褌を洗う女もまた鬼なのだ。生活力の乏しかったであろうこの時代の女性は誰もが「野垂れ死」への不安を抱えていたのではないか。多かれ少なかれオメカケ症であっても不思議ではない。彼女もまた孤独だったのだ。2018/11/25

れどれ

10
恍惚。現実の現実性を煮詰めて煮詰めて煮詰めきったエキスを割り下に、適切妥当な言葉の数々で調味を施して、虚構の物語に仕立て上げ、こちらを現実から別天地へかどわかしてくれる。読み終えた後には恐怖の凍えや官能の火照りが心身に残される。そうとも、あちきが小説に求めているのはこれだよと、夢心地の恍惚に浸りきった。2019/08/26

ふな

10
「青鬼」のみ読了。婦人団体が見たら激怒しそうな表現も有り。だがそこが良い。話自体は戦後を舞台にした「オメカケさん」の独白なのだがどこか幻想的。追記:「いづこへ」「青空と外套」「私は海を抱きしめていたい」を読了。坂口氏の女性観がよくわかった。2014/02/06

hasegawa noboru

4
〈どうせ戦争が負けに終って全てが滅茶々々になるだろう〉(「戦争と一人の女」)東京大空襲下を生き延びた安吾の体験がベースにあり、そのことが描かれている終戦直後に書かれた表題作2作品がやはり優れる。〈米軍が上陸し、天地にあらゆる破壊が起り、その戦争の破壊の巨大の愛情が、すべてを裁いてくれるだろう。考えることもなくなっていた。〉(「白痴」)女主人公〈私は住む家も身寄りの人も失っていたが、私はむしろ希望にもえていた。私は戦争や破壊を愛しはしない。私は私にせまる恐怖は嫌いだ。私は然し古い何かが亡びて行く、新しい何か2018/06/25

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