内容説明
原爆ドーム近くの病院で32歳で病死した沢村あづさ。残されたノートには「必要なのは、徹底した謝罪だ」と書かれていた。同じ頃、東京都大森のアパートで、風俗譲の榎本未美が殺された。その背中には、広島の原爆死没者慰霊碑に刻まれた碑文と同じ内容である「安らかに眠ってください」という文字があった。二人は実は中学の同級生であったことが判明。事態は、18年前の「ある事件」へとつながっていく――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二分五厘
18
『安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから』原爆ドームの慰霊碑に刻まれた碑文─それを背中に書かれた、滅多刺しの女性死体。余命僅かの女性の告白が、十八年前の原爆ドーム近くで起きた集団暴行殺人事件の関係者に、動揺と疑惑、そして殺意を巻き起こす。志垣警部最後の事件、そして吉村達也最後の本。ヘルメットの痕跡が、何故見落とされたんだろう。「誰かの過ちによって、人生を台無しにされた人間にとっては、加害者や責任者による反省などなんの意味もない。二度と繰り返さない決意になんの意味もない。必要なのは徹底した謝罪だ」2021/04/02
そのぼん
12
過去の事件が発端になり、新たな悲劇を巻き起こす…。そんなミステリーでした。 いつもの志垣警部のギャグテイストほとんどなく、重みのあるストーリーでした。2012/04/07
kyhitsuji
2
刑事の志垣&和久井コンビシリーズ。遺作。 真相を告白して、謝罪した事から始まる殺人事件。 原爆ドームが見える病院で32歳の女性が死んだ。死ぬ直前どこかへ電話する。 その後東京のアパートで前身をメッタ刺しにされて背中にマジックで原爆死者慰霊碑の碑文と同じものが書かれた女性の死体が見つかる。 過ちを反省をしている人物ほど酷い目にあい、反省をしていない人物は安定した人生を歩んでいるというのは実に吉村達也らしい理不尽さ。途中も登場する変な宗教団体はいらなかった気がする。2015/02/04
みさよ♪
2
大好きな志垣&和久井コンビシリーズの最後だと思うと、なかなか手が出なかったけど、漸く読みました。温泉シリーズよりもテーマも重く、社会派なメッセージも感じられる。もう吉村作品の新作は読めないけど、今までの作品を再読しようと思います(ノ_・。)2012/10/31
よっしー
2
本編には色々と考えさせられました。 ただ、もう志垣&和久井コンビの新作が読めないと思うと・・・。2012/06/06