角川文庫<br> 私の家では何も起こらない

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角川文庫
私の家では何も起こらない

  • 著者名:恩田陸【著者】
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • KADOKAWA(2016/11発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041046401

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内容説明

小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

323
何とも不思議な、少し寒気が歩み寄ってくる作品。丘の上に建つ古くて小さなお家、周囲からは幽霊屋敷と呼ばれてる。短編で、全編一人称で語り手が『今現在』を語る。多くの人がこの家で生活を重ねてきた中、凄惨な出来事もあった。タイトルからは逆に『何が起こるんだ?』という興味が湧き、『幽霊』『一人称』で短編を繋ぐと最後にオオッとなった!我々が今住む土地では何千年も人が生きて死んでいった訳で、全ての土地に霊は時間感覚なく存在するのだろう。意外と話すと面白いのかな、幽霊さん。幽霊は何もしない。怖いのは生きてる人間よ‼️🙇2019/06/16

yoshida

124
古い屋敷が舞台。様々な年代を通しその屋敷に関わった人々の怪異が描かれる。現代に至る迄、限りなく多くの人々が産まれ亡くなっている。様々な場所に人々の思念や記憶がある。時と場所により強い思念や記憶があり、共鳴する想いがあろう。そこで見えたモノが幽霊と言えるのかも知れない。ある意味、私達が見えないだけで、そこかしこに所謂幽霊はいるのだろう。私達も人類の長い営みの一部であり、後世の人々に幽霊として認知されることがあろう。それは人類が滅亡するまで続くと言える。彼岸と此岸。境界は曖昧かも知れない。考えさせられた作品。2021/01/09

まこみん

112
常野物語の世界も好きだったけど、洋風世界のこちらも好み。丘の上の古洋館。関わった人達や何代にも渡って語り継がれる物語。幽霊屋敷。二人の大女、首を吊った男、その奥方と赤子、美少年、数知れない子ども達…彼らの其々が思い出になる。これからも。残虐な場面も恩田さんの叙情的な語りに寄って禍々しい感じにならない。日当たりのいい台所の情景…地下の貯蔵庫、パイの焼ける香り、剥かれたじゃがいもの皮…。拘りの表紙とカバーデザインの名久井さんとの対談も楽しめた。2017/03/18

デーカ

108
読んでいる時は薄気味悪い、いや~な感じがつきまとっていた。だけど読み終わると、なんだか温もりのある物語でまとまっていて、あの屋敷に住む、彼ら彼女たちの怖さがなくなっていました。たくさんの思い出や記憶が積み重なっている場所、あとは誰が接続するか。大工の話で癒されました。2017/04/28

りゅう☆

107
ジャガイモの皮を剥いていた姉妹が包丁で刺し殺し合った。老主人が連れてきた女が子どもを攫って解体してジャムやピクルスの壜に身体の一部を入れた。長身の男、黒髪の女、黒髭の男のいるキッチン。ウサギの巣穴に引っかかって転んで死んだ母子。老人を惨殺した少年はお気に入りの女の子の側で自殺。丘の上の「幽霊屋敷」には様々な噂がある。だが住人の女性作家はこの家がお気に入りなのだ。だってどの家も幽霊屋敷なんですもの。ここに住む幽霊たちを受け入れ、彼らが味方してくれるくらい堂々たる態度と肝っ玉を持った大工さんの度胸が羨ましい。2019/07/15

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