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内容説明
秦の始皇帝に始まる二千年余にわたる中華帝国の歴史にその名を刻む唯一の女帝・則天武后(武則天)。男性中心秩序の古代社会に己の才覚と知力で挑み、至尊の座にまで登りつめた女性は、何を目指し、また何が彼女を生み出したのか--。大唐帝国繁栄の礎を築いた冷徹にして情熱的な生涯とその時代を、学術的知見に基づいて鮮やかに描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼちぼちいこか
25
隋から唐に政権が動くとき則天武后は生きていた。14才で太宗の後宮に入り、太宗亡き後その息子である高宗に寵愛され後宮に潜り込む。それだけではなくライバルである皇后、愛妾を無残な死により追放する。ここまで15年の間、武后はしたたかに政治を自分の物にしようとしていた。御簾政治もこのころから始まり、女帝への道を進んでいくことになる。自分の計画の為には息子、異母兄、など必要ない者たちを殺していく。儒教の国で女性が皇帝になるとはありえない。それを実現させた武后。この女性のバイタリティー信念とはが書かれている。 2020/11/15
ぽっぽママ
16
則天武后の一生がわかりやすく丁寧に書いてある。特に政治的な業績が詳しく書かれている感じ。日本における女帝とは歴史的背景が全然違って彼女が乗り越えなければいけなかったハードルの高さを感じた。2018/05/24
雛子
15
女の身でありながら中華史上唯一の女帝として君臨した則天武后。本書では著者の言う通り彼女に対する一方的なレッテル貼りはされておらず、かと言って事実の羅列に終わらず読み物としてもとてもおもしろく。中国史素人の私としてはこのくらい噛み砕いて物語風にしてもらったほうが、楽しんで読める。しかし中華文化圏において女性が皇帝になることのなんと大変なことか。前皇后やわが子殺害はともかく天授聖図のあたりからのなりふりかまわぬ必死さが凄まじい。あとがきを読んで、入手しやすいこの講談社学術文庫があることに感謝したくなった。2016/11/28
槙
11
則天武后は目的のために手段を選ばない。有効と判断すれば産まれたばかりの娘を殺し、皇帝位のライバルになる息子たちもザクザク殺す。 密告を推奨し宗教を利用し家柄ではなく能力で人を取り立て人材を活用し、いらなくなった人物は捨てる。作者も凄まじいと辟易したり魅力的だと圧倒されたりであっぷあっぷしたと後書きで述べていたが、読者もひえーっと言ってるうちに一気読みしてしまう。佐野洋子が「気が強くて才能があって不美人で自己主張が強すぎる人を偉いと思ってる」と書いてた。則天武后は美人だったが、残りは全部あてはまるわ。2018/12/07
kokekko
9
とても面白い歴史読み物だった! 講談社学術文庫から出ているのでおかたい本かと思いきや、塩野七生さんのような軽妙な語り口でつづられる唐の女帝の物語。彼女の出現を許した唐という国は一体どういうものだったのか、というところを、隋の末期や北魏の末裔の行く末など、多民族の血族的な側面から溶きほぐした序盤が特に面白かった。だが文化史的な側面の記述はない。ともかく読みやすい本だった。おすすめ。2023/04/30