講談社現代新書<br> ピアニストは語る

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講談社現代新書
ピアニストは語る

  • ISBN:9784062883894

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内容説明

本書は、昨年、二〇一五年の来日の折に、東京で収録された、世界的ピアニストが初めてこれまでの人生と芸術を振り返った貴重な証言の書籍化です。ソ連時代の暗鬱な空気の中でのモスクワ音楽院での修業の日々。国際音楽コンクールのプレッシャーと優勝の喜び。国を捨てる決意を固めるまで。そして亡命決定の瞬間のスリル。さまざまな苦難の時を乗り越えた一人の芸術家が語るによって人生の軌跡と芸術哲学!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

54
ピアニストが自身のこれまでと音楽について語るインタビュー。特異なピアニストとして気になっていて彼が出す小説などは手に取る機会がなかったがまさかの新書で驚く。60年台ソ連時代の音楽教育の実際や亡命対策などが興味深い。絶滅しつつある古いタイプの芸術家である彼の人生観や練習への姿勢などが語られる。初めて彼の演奏を聞いたときにそのやたらに遅く独特の間が怖く感じたのを思い出す(DENON音源)。だが最近のはまた違っているそうで、まあ20年以上たつとそうなるかと。2017/02/12

Nobuko Hashimoto

23
アファナシエフが指名したインタビュアーとの信頼関係を感じさせる深い対話。60年代のソ連の音楽教育事情がわかる第一部が面白かった。次代の音楽家たちを育てる熱意や親心が感じられるエピソードが、師匠たちへの敬愛と感謝の念をもって語られている。アファナシエフの音楽観に関心がある人には第二部が興味深いだろう。具体的な楽曲の話が続いたので、動画で彼の演奏を流しながら読んだ。思索する音楽家という印象を受けた。2016/12/30

禿童子

17
ピアニストというよりも哲学者の風貌が感じられる。ベートーヴェンの後期ソナタよりも「熱情」や「月光」の方が難しいと語るのは意外に思える。70代を前にして到達した境地:「論理的にというよりも、ハーモニーに沿って多くを聴き取るということが重要です。すると、メロディーそのものが横に延ばされて、時間を拡張したハーモニーになってくる。演奏していると、そのようなことが起こるのです。これを感じ取ることができると、私ではなく、誰かべつの人が演奏しているように思えてくる。」2017/01/20

ryohjin

16
ピアニスト、アファナシエフがインタビューにこたえ、人生と音楽を語っています。モスクワで受けた教育で、常に心に留めていたのは、ピアノの前で身体を楽にしていることの重要性を指導されたことだと話しており、少し意外でしたが、ピアニストにとって、思うように反応する身体を確保することの大切さに気付かされました。音楽へのアプローチはハーモニーを重視しており、バッハの演奏でも活かされたと語っており、和声に重きをおくのがシューマンやドビュッシーでなくバッハもなんだと驚きつつ感心しました。刺激があり読み応えのある一冊でした。2023/04/18

忽那惟次郎8世

15
私がアファナシエフに絶対的な信頼を寄せているのは ご存知の方も多いと思うがNHKの1時間ほどのドキュメンタリーを見たことによる アファナシエフが「恐ろしい曲」というシューベルトの最後の変ロ長調ソナタについて語ったところがあり その内容があまりに本質をついており 同感したからだ この本はインタヴュー形式でどこまで本人の考えが伝わるか解らないが ベートーヴェンのピアノソナタに多く語っている 又、演奏解釈についてトスカニーニ、フルトヴェングラーなどの指揮者評価も面白い。亡命体験についても語られているので興味深い2021/02/27

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