- ホーム
- > 電子書籍
- > 趣味・生活(スポーツ/アウトドア)
内容説明
マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長年にわたって取材、書き下ろした実話譚。
第一章 歴史のはざまで
マタギが八甲田で見た人影はなんだったのか/菅江真澄と暗門の滝の謎/尾太鉱山跡で見つかった白骨/雪男を求めてヒマラヤに行ったマタギ
第二章 マタギ伝説
山の神様はオコゼと男根がお好き?/老犬神社由来/サゲフリ/神様になったマタギの常徳/兼吉穴/「鬼は内ー、鬼は内ー」
第三章 賢いクマ
演技して逃げたクマ/クマに騙されたマタギ/トメ足をしたクマ/スイカ泥棒/真剣白「歯」取り/復讐するクマ/クマを育てる/クマは如何に岩壁の穴に入ったか
第四章 山の神の祟り
四つグマの祟り/大然集落を襲った山津波は山の神の祟りか/忌み数/クマ隠し/セキド石
第五章 不思議な自然
大鳥池の巨大怪魚/マサカリ立て/山が教えてくれた
第六章 人間の不思議な話
濡れ衣/呼ばれる/老マタギと犬
※『新編 山のミステリー』(山と溪谷社)の著者が紡ぐ、『山怪』(田中康弘・山と溪谷社)にも通じる山の民の体験録。お楽しみください!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
120
興味津々で怖さもあった一冊。東北、白神山地を舞台に語られるタイトル通りのマタギたちの奇談。初っ端の八甲田山中の真夜中の一列横隊の人影との遭遇話から興味津々。死んだふりをする熊、復讐しに来る熊の数々の逸話に自然の中で生きるものの賢さを感じ、その生きものたちを懐に抱く山の力を思わずにはいられない。数々のおきてをやぶったがための奇談はまさに山の怒り。怖さと共に山には神がいることを強く信じた。神を崇めるマタギの代々伝わる掟も納得。マタギの歴史文化は幕を閉じても、自然を山を畏怖する気持ちは永遠に喪われてはならない。2023/11/16
マエダ
93
”マタギというのは、ただ獲物を獲るだけでなく、山の隅々までを知って大切にしている人のことをいうのです。”老マタギの言葉だが、読めば言い伝えや伝統が森を守ることに繋がっていることがわかる。なかなか知らない世界を学べてよかったと思う一冊。2016/10/30
ぶち
81
読友さんのレビューで手に取った本です。マタギたちが経験した不思議な経験を取材し、書き下ろした実話集です。写真も掲載されていて、"わー、実在する場所なんだ"と、臨場感に溢れています。読んで感じるのは、自然や野生に生きものに対しての人間の無力さ、奢りや迂闊さです。自然に対して敬意を払わない人間がたくさん登場し、悲惨な目にあっています。これがマタギたちが言う "山の神" からの罰だと納得してしまいます。単なる迷信、と軽く考えることはできません。深い山の幽谷に入って、その冷気に触れ、下山したような読後感でした。2023/12/31
HANA
68
山を駆けるマタギからの聞き語りの数々。冒頭の八甲田山行軍の怪談を含むもう一つの話は歴史の一断面として非常に興味深かったが、菅江真澄忍者説は正直どうかと思う。そして山の神等の伝説を巡る話や山の掟と祟り。山津波で村が消えた話等は、その様子から3・11を思い出して何とも言えない気分になる。また熊狩りからは熊の頭の良さを教えられるし、山中で遭遇した数々の体験は山が異界という事を改めて教えてくれる。国の政策によって滅びつつあるマタギの伝承と体験、その背後にある文化の豊饒さを、思い知らしてくれるような一冊であった。2017/03/24
Kentaro
46
マタギに関わる逸話を多数紹介した内容である。著者が、なによりマタギに感銘を受けたのは、彼らが自然をたいせつにしていることだ。たとえば山菜の採りかた。あるだけ採るのではなく、山の神に感謝しつつ、その日食べるぶんだけ採り、欲張らない。来年も再来年も採れるようにする。欲張ると山の神の罰が当たるとし、自分たちを律してきた。そのため千年、いやそれ以上、縄文時代から続いていることを知った。 クマを獲ったことにより起きる祟り話、山の神の話、子どもを思う親グマの話、伝説などである。題して『マタギ奇談』。2019/12/20