内容説明
夫の浮気を知った妻は身体が巨大化していった。絶望感と罪悪感に苛(さいな)まれながら、夫は異形のものと化していく妻を世間の目から隠して懸命に介護する。しかし、大量の食料を必要とし、大量の排泄を続ける妻の存在はいつしか隠しきれなくなり、夫はひとつの決断を迫られることに──。恋愛小説に風穴を空ける作品との評を得、満票にて第22回島清恋愛文学賞を受賞した怪作! 【解説】小池真理子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
127
高校教師である主人公が妻に浮気を知られた翌日。妻・奈緒美の体に異変が起こり巨大化していく…というお話。浮気をしたら連れ合いは必ずこうなると決まってたら浮気する人はものすごく減るだろうなあとか思ってしまった。こういう出来事がきっかけで心身のバランスを崩す…ということを奇想天外な形で描いたってことなのかなあと思いながら読んだけど、とにかく食事時には絶対読めない描写が多い。本当にこれ浮気が原因だったのかな?と思うようなことも終盤に出てきてちょっとモヤっとする終わり方ではあったけど、楽しめた。2018/02/21
散文の詞
102
グロいです。 最初、妻が巨大化すると言うから、SFなのかと思っていたら、愛しくも不思議な愛の話でした。 絶望で巨大化?そんな妻を見ながらも、尽くし続ける? どう読めばいいのか。 現実的な問題もあって、考えさせられる部分もあるけど、全体的に?でした。 最後もなんとなくうやむやで、妻としての気持ちはわかるような気もするけど…。 尽くし続けるべき理由がよくわからない。 2020/06/08
yumimiy
94
モーレツに臭うモーレツな愛の物語。もし、あなたの妻がグレゴール・ザムザのごとく突然、変身したら。オレは非常勤講師兼作家。教え子のナオミと結婚したが、ちゃっかり不倫もしてた。ある日、帰宅したらナオミが巨大化していた。ここまではへーだったが、食べて出す自然の摂理。発症時ナオミの身長は3.42m、排便量は5.2㌔。4か月後4.68m、排便量は計測不能、近所は悪臭で大騒ぎ。身から出た錆は、完全四面楚歌となる。干渉・憎悪・絶望のその先は、ナオミと逃避行。不幸は耐え難く/幸福はさらに耐え難い=思い通りに生きられない。2023/08/14
あも
93
えぐみがすごい。グロもナンセンスも大概読んできたつもりが、冒頭からえずきそうになって一旦中断。意地で乗り切るも達成感などない。ならば読む価値はなかったのか。否、である。これ程ダイレクトに嘔吐中枢を刺激してくる小説は稀有。浮気に怒った妻が巨大化するのだが、リアリティさん仕事しすぎ…。人間が巨大化するってかくも不自然で壮絶なのね。当たり前だが。肉と精神両面の痛々しさ、息苦しさ、そして巨人の排泄物処理のえぐさ…。もうあんま思い出したくないんでこの辺で。とにかくキッツいので読んでこの感情を共有してくれる人募集…。2018/12/14
ω
75
萬壱先生が愛を書くとこうなるのか!!夫の不倫に怒った嫁が巨大化。3m、4m… 食べて出して食べて出して食べて出して食べて出して食べて出して。安部公房を思わせる。永遠に読んでいられる‼️ ラストの展開は圧巻。何ヶ所かマジで吹いた。犬の頭引きちぎるとことか…ω 引き続き追わせて頂きます。2021/10/03