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内容説明
一国史観・進歩史観では世界史はわからない。都市と田舎の違いとは。近世イギリスはなぜ晩婚社会だったのか。昼寝より残業を選ぶ心性はいつ生まれたか。世界で最初の産業革命はなぜイギリスだったのか――。ヨーロッパ世界システム下、イギリスの民衆はどのような日常生活を送ったのか。イギリスの「繁栄」と「衰退」を捉え直し、日本の現在を考える。生活史、世界システム論を開拓してきた泰斗による近代史講義!
目次
プロローグ 歴史学は終わったのか
第一章 都市の生活文化はいかにして成立したか──歴史の見方
第二章 「成長パラノイア」の起源
第三章 ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス
第四章 世界で最初の工業化──なぜイギリスが最初だったのか
第五章 イギリス衰退論争──陽はまた昇ったのか
イギリスは「衰退」したのか──基礎データ
エピローグ 近代世界の歴史像
さらに学びたい人のために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
109
プロローグを読むと最近、高校生で受験者数が世界史が地理に抜かれているという話があります。やはり範囲が広すぎるのでしょうか?歴史学の先生でも現実に向き合える学者が日本にはいないと書かれています。世界各地の庶民の歴史を描くことによってもう少し興味のあるものにしたいというのがこの著者のスタンスです。確かに都市の生活文化、「成長パラノイア」の起源などを読むと、今の日本人の生活なども見直す必要があるのではないかという気もしてきます。2015/11/04
mitei
53
産業革命やイギリス衰退論に関する通説に対し、疑問点を呈し、今に続く本当のイギリス社会が垣間見えるようだった。2012/01/04
skunk_c
43
10年近く本棚で寝ていた本を読んだがすこぶる面白かった。著者はウォーラーステインの「近代世界システム」の紹介者として知られるが、一方で需要=消費から経済史を考えるという視点をお持ちで、このマクロとミクロが絶妙にミックスされたイギリス近代史を、一気語りしたものを起こしたとのこと。テンポも良く、具体例も豊富でイメージも沸きやすい。何より細部にこだわらず、大掴みに歴史像を描き出している。現代的な問題意識もふんだんに盛り込まれ、ことは価値観にまで及ぶ。真に「暗記物でない歴史」の奥深さを見せていただいた。お薦め。2019/06/07
おさむ
42
面白いの一言に尽きます。イギリス近代史の大家である川北氏の大学の講義を聴いているかのような錯覚に陥ります。都市の生活文化はいかにして成立したか、なぜ世界で初めてイギリスで産業革命が起こったのか、イギリスは衰退したのか、……。話はあちこちに飛ぶのだけれど、それが不思議に心地よい。人々の生活の検証から説き起こすからこそ、大局的な視座が生まれるのでしょう。ウォーラーステインの世界システム論を日本に紹介した人物として知られる川北氏ですが、この手のイギリスものの著作も多いようなので、もっと読んでみたくなりました。2019/03/14
kei-zu
40
「砂糖の歴史」を読んででひっくり返り、「世界システム論講義」に続けて本書を読了。 英国の社会学的背景や「歴史学」の在り方への考察など、取り上げられる内容は幅広いが、基本的には講義の書き起こしということで読みやすい。上記の本を読んで興味を持たれた方は、本書も是非。2022/06/25