内容説明
元ニューヨーク市警のマーシャルは、犯罪組織への潜入捜査を終えた後、政府の保護下で暮らしていた。ダメージを受けた組織は復讐を誓い、最強の殺し屋〈ダラスの男〉を差し向けるが、マーシャルはサンタフェの隠れ家に用心深く潜みつづけた。だがしかし、地元の若い女性の失踪事件を追ったばかりに、マーシャルは麻薬の売人と対峙することになる。さらには執念深い組織と〈ダラスの男〉の魔手が……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
136
終盤は、ページを捲る手の指が震えそうになる。読み終えたくない気持ちを堪えて本を閉じた時、裏表紙の若いハンサムな作者サンダースの顔を見てウインクしたくなった。感情を表に出さず超人的に強くて悲しみを抱える男、少し滑稽で緊張感がないがなかなかに活躍する刑事、冷酷な凄腕の殺し屋、どうしようもない最低のチンピラのワル。それぞれが、名作のハードボイルドに登場するほどの男たちが、入り乱れ、次々と人が殺されていくストーリー。彼らの心のよりどころは、妻や恋人や母や娘。その人間くささが、またたまらない。作品に恋した気分。2016/09/30
のぶ
59
全体的に散文調でとても感情移入し辛い作品だった。中間部あたりから文章にも慣れ、読むことができたが、物語は一本線では進まないので途中で整理が必要だった。舞台はアメリカ、ニューメキシコ州サンタフェ。主人公の捜査官マーシャルは証人保護プログラムという潜入捜査を終えた刑事が政府の保護下で生活していたところ、地元の失踪女性の事件に関わったために、殺し屋に追われてしまうという話。先に書いた通り主人公VS殺し屋だけでなくいろんな人物が絡むのであらすじ以上に複雑だった。自分の評価は現段階では何とも言えない。2016/09/10
ヘラジカ
31
ニュージーランド出身の27歳の作家が生み出した力作犯罪小説。新人作家ということで、お世辞にも洗練されているとは言えないけれど、読書の楽しさだけで言うならばケチのつけようがない出来だ。キャラクター造型に力を入れているというだけあって、ぞろぞろと登場する悪役たちはなかなかのイカれっぷりで作品を引き立たせている。気の利いたセリフがぽんぽんと放たれる会話の面白さも特筆したい。エルロイ新作がやや期待外れに感じていたところなので、彼の影響を受けている新人犯罪小説家の作品が読めたのはとても嬉しいことである。2016/07/12
ひめ
29
なんでわざわざ危険に身を投じるのだろう・・・とずっと思いつつ読んだ。そういうのもなのかな。行方不明になった女性が、もういない誰かに似ている。たったそれだけで、命を懸けるのか。私にはちょっとわからなかったなぁ。2016/12/03
アルラ(ただ今介護中)
20
マーシャルの過去知りたさに最後まで引っ張られた。あ~そうか。続く…のね。冷酷で残虐なシーンと大切な人への愛の対比が印象に残った。2019/08/31