講談社現代新書<br> 参謀本部と陸軍大学校

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講談社現代新書
参謀本部と陸軍大学校

  • 著者名:黒野耐【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 講談社(2016/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061497078

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内容説明

大東亜戦争敗戦の真因は組識と教育だった。統帥権独立のため創設された参謀本部が権力闘争の具と化し、参謀養成のための陸軍大学校が教育方針を誤ったことで破滅した日本軍の絶望的な内実を克明に追う。(講談社現代新書)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nnpusnsn1945

50
タイトル通り、日本陸軍の参謀本部と陸大の歴史から組織的問題点を問いかけている。具体的には、メッケルの雑な軍事理論、兵站全体を管理する部署の無さ、粗末な陸海軍統合作成、作戦課と情報課の分化による弊害等がある。また、山県有朋が私物化したところも後々響いたようだ。「大東亜戦争」という古い名称を使ってはいるが、国粋主義的な論とは無縁である。(勝算も終結抗争のない戦いであると示しているから。)2022/12/11

kawa

33
(再読)明治以降の軍隊の指揮監督機関である参謀本部と、そこへの人材提供組織である陸軍大学校の変遷と実態を論述。ややマニアックながら日本の近代史を振り返るうえで秀逸な内容と思う。彼らの第一の関心毎は我が身・所属機関の権益確保で、その次に日本国の消長があったように見える。それでも明治・大正は、明治維新を生き抜いてきた元老たちのリーダーシップでしのいだのだが、彼らがいなくなった昭和の時代は、軍隊の指揮監督は得意だが国家戦略・政戦略は素人の軍人が国の舵取りを握り、悲劇の坂を転がり墜ちて行った実態を描かれる。2023/10/08

kawa

17
①山県有朋が自己の権力基盤を強固にするために、参謀本部を政府の統制外においたこと。②参謀機能が陸軍と海軍に二元化して互いに譲らなかったこと。③陸大が実践的参謀教育を目的としたところから、政戦略的構想能力の低い指導者(軍人)に国の将来を託してしまったこと。等が記述され、結果として、国全体の有効な戦略が打ち出せず、勝算なき戦いに突入し悲惨な敗戦を迎えたと指摘する。日本軍の失敗を研究した「失敗の本質」を読んだ後なので、本書が、その前史的書籍とも捉えられ納得感の高い内容だった。 2016/08/21

無重力蜜柑

14
陸軍参謀本部及びそこを牛耳った高級軍事官僚の欠陥を、陸大教育の欠陥と結びつけて分析する本。旧軍の欠陥としては独断専行の横行、兵站や情報の軽視、大局的な政戦略の不足などがよく上がるが、本書ではその理由を、作戦指揮・行政実務偏重で人文社会的素養を欠いた陸大教育に求めている。そうした教育伝統は陸大設立に協力したドイツ軍将校メッケルにまで由来するもので、明治陸軍が経験していた日清、日露戦争の頃ならともかく、総力戦時代には時代遅れのものとなった。ここに統帥権独立と元老死去による戦争指導機関の不在という問題が加わる。2024/02/02

おらひらお

10
2004年初版。日本陸軍における組織と教育の不備が敗戦に至らしめたことを指摘した本です。では、現在の自衛隊はその不備を改めることはできているのでしょうか。現在の自衛隊の組織論や教育論もなかなか外に出てきませんが(機密かもしれませんが)、常日頃から自らを見つめ直す必要がありそうですね。ただ、論の展開が単調なことと石原莞爾への絶賛はやや不安な感じもします。2012/07/31

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