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内容説明
この宇宙にはまだ多くの謎が残されています。自然界に存在する4つの力のうち、3つまでは標準理論で説明できますが、4つ目の重力を素粒子物理的に理解することには成功していません。こうした問題を解決し、重力まで含めたすべての力を統一的に理解する可能性を秘めているのが、「超対称性」とよばれるまったく新しい対称性です。「なぜこの宇宙が存在するのか」という根源的な問いに答える究極の理論に迫ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
99
量子電磁力学、電弱統一の理解が少し進んだ。物理変化における「保存則」は「対称性」によって成り立つ。エネルギー保存則は時間並進対称性、運動量は空間並進対称性、角運動量は回転対称性。他にもゲージ対称性、空間反転対称性、時間反転対称性、荷電共役対称性がある。一方で「自発的対称性の破れ」を見いだすことが、宇宙の成り立ちを素粒子レベルで解明する鍵。量子電磁力は、ゲージ対称性と「くりこみ」という数学的技法により完成。電弱統一論は、弱い力に対するゲージ対称性の自発的破れと質量を与えるヒッグス粒子の導入により成功。2023/01/17
はなよ
17
前半は標準理論の解説。後半は本題の超対称性と、それに関わるヒッグス粒子や暗黒物質が解説されている。特にヒッグス粒子の解説が分かりやすく、ヒッグス粒子を専門に扱った本よりも分かりやすいと感じた。2020/07/09
えも
14
ヒッグス粒子発見で標準理論の有効性がはっきりしたところで、もう物理学者の関心は次の統一理論、夢の重力・量子力学の統一理論に向いちゃってるのね。その有力候補、超対称性理論を根気よく丁寧に解説していて好感が持てます◆やっぱりポイントは「ひも」なんですかねえ。それと色んな場面で南部陽一郎さんの名前が出てきて、改めて、先を見通せた巨人だったんだなあと感じましたね。2016/09/10
akiakki
3
これまで読んだ量子論、素粒子論の話が出てくるが超対称性になると着いて行けずにギブアップ。スピンの理解が足りないからか?せっかくスピンの状態の転移が質量の正体とあるのに。しかし知りたかったことが取り上げられているのには間違いないのでもっと勉強してから再読したい。2023/02/01
がりがり君
3
最後は非常に示唆的な言葉で終わる。曰くディラックは数学的に美しいことを愛したがファインマンは実験事実と合わないことには意味がないとした。さて超対称性粒子が存在するならそろそろ観測の網に掛かってもいい頃だが自然はひょうひょうと人間の企みをかわしてるように見える。ヒッグス粒子の観測も40年を要した。重力波も観測され、物理的な大きな話題は既に枯渇してるように思われる。果たしてこのさき物理現象を解明することに意味はあるんだろうか。学問としては十分に成熟したかのように思われる。2016/07/14