内容説明
琵琶湖に近い余呉(よご)湖畔で女性の死体が発見された。殺害時刻に彼女の夫は博多、双子の弟は酒田にいてアリバイは完璧。しかし兄弟を疑う被害者の妹は推理作家の空知とともに探偵に調査を依頼する。そして謎めく第二の殺人が……。犯人が作り出した驚愕のトリックとは?有栖川作品の原点ともいえる傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
67
アリスシリーズとは違う、単独の作品です。有栖川氏の作品はエラリー・クイーン風のロジックミステリーとして有名ですが、この作品はクロフツ、鮎川風のどっしりとした堅実な捜査の積み重ねの、アリバイ崩しミステリーです。フウダニットには重点を置いておらず、ハウダニットを楽しむ為の作品です。たいへん素晴らしい内容ですが、作者が有栖川氏と思えない程の作風の違いに驚きます。終盤は手に汗を握る展開満載で、これぞ本格という謎解きとサスペンスを味わえます。余談ですが、Gメン75を観ていた世代には、ピンとくる謎解きだったでしょう。2015/05/16
ばりぼー
65
二十数年ぶりの再読。ストーリーもトリックも全く覚えていなかったため、新鮮な気分で楽しめました。双子のトリックを使っていることを堂々と宣言していながらも、さらに捻ってサプライズを用意している展開はお見事。時刻表が苦手という方も多いとは思いますが、読み飛ばしても差し支えないのでどうぞご心配無く。それにしても、よくもまぁこんな面倒臭い「驚愕トリック」を考えたものだと感心しますね(笑)。作中の「アリバイ講義」や「あとがき」のブックガイドを読んで、鮎川哲也や笹沢左保を無性に読みたくなりました。大満足です。2014/10/07
yu
38
Kindleにて読了。 ちょっと久しぶりのノンシリーズな有栖川さん作品。 途中から、何となく真相がわかってしまったものの、一気読みしてしまう面白さ。ミステリーはサクサク読めて、やっぱり好きだなぁ。 それにしても、リニューアル版は使いづらい。。。というわけで、旧版に戻した。っていうか、画面の最下部に戻すバー置くのって、わかりづらい・・・。しばらく気づかずに、どうやったら戻せるのかイライラしてたよ。2016/12/30
rio
36
余呉湖畔で起こる2つの事件。しかし容疑者全員にアリバイが存在するアリバイミステリー。犯人はわかるけれど、アリバイが崩せず、先が気になり一気に読み進めました。トリックの緻密さが際立っていて面白かったです。他にも、登場人物が語る「アリバイ講義」が興味深く楽しめました。また、片桐さんの登場が個人的には嬉しかったです。2012/10/08
ミンティア
35
久しぶりの時刻表&双子ミステリのアリバイトリック。面白かったです。流石本格の有栖川有栖。こんな本格のアリバイミステリは初めて読みました。 双子の意義も十全に発揮出来ていたと思いますし、すごく楽しみました。 ただ、途中で何となく犯人が分かってしまったのが残念でした。(アリバイ崩しの方はてんでダメでしたが) 作中のアリバイ講義はとても楽しめて勉強にもなりました。 好きだったキャラはユカリ。彼女のどこまでも一途な性格がとても気に入りました。 本当に彼の作品は今までハズレを引いたことがないです。2012/12/21