内容説明
「世界なんて終わっちゃえばいい」暴力を振るう義父と受け入れるだけの母、良いことなんて何もない毎日に絶望する中学三年生・ノノ。彼女の願いをかなえるかのように、白い霧に包まれた街から人々は消え、滅びのときは数日後に迫った。望み通りの終末に怯えて逃げ出したノノは「世界が終わっちゃうのは、あたしのせい」と告白する白衣の少女・加連と出会う。そして少女二人きり、何処にも辿り着けないおしまいへ向かう旅が始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆなほし
37
白い霧に包まれ終末が迫る世界で、毎日に絶望するノノと「世界が終わっちゃうのは、あたしのせい」と告白する加蓮の二人きりの旅が始まる。なんて良質な終末SF×百合!霧によって人が気化するという世界観も退廃感があり、さらに数日後には人類が滅ぶというタイムリミットまである。そんな中偶然にして必然的に出会った二人の少女が、終わりまでの限りある時間を共に過ごす尊さよ…ただ終わりを待つだけではなくしっかりと世界観の根本に差し迫る展開も素晴らしい。退廃的な世界での少女二人旅、この雰囲気が好きなら間違いなく好きになれる作品。2020/06/07
橘
26
はじめましての作家さん。面白かったです。とても好きな世界観の百合でした。終わりに向かう世界で、ノノと加連の2人のお互いを思う気持ちを、切なく感じました。終章をどのように捉えればよいのかがわからなかったですが、2人は再会出来たのだと思いたいです。2016/05/11
ソラ
26
週末に向かっていく世界の中で二人の少女の距離が徐々に近づいていく過程に引き込まれ、最後は切ない展開に…。しかし、良くも悪くもあっさりしてるというか、場面によってはあれ?もう終わり?みたいなところもあったりだけれど、良い作品でした。2016/03/11
よっち
26
暴力を振るう義父と受け入れるだけの母、いいことのない毎日が続き絶望する中学生ノノ。しかし突如白い霧に包まれた街から人々は消え、逃げ出した先で白衣の少女・加連と出会うガール・ミーツ・ガール。義父から逃げ出したノノと、現象に関わりながらとある目的のために組織から逃げ出してきた飛び級の天才少女・加連。偶然から出会った不器用な二人でしたけど、近づく終末を前にきちんと心残りを解決したい加連と行動を共にするうちに深まる絆と、お互いのためにという想いが感じられる切なく優しい物語でした。こういう作品もまた期待しています。2016/02/25
みんち
19
先日の「世界の涯ての夏」に続いて今回もSFを。ツカサ氏の「ノノノ・ワールドエンド」を読了。この物語がちょっと凄いのは、物語が始まった時点で世界が終わりかけていること。既に人類があらかた消えてしまった世界で、偶然出会った二人の少女が織りなすロードムービー的な旅の物語。世紀末的なバイオレンス感と、思春期真っ只中なソフト百合展開が絶妙なバランスで混ぜ合わされ、そこに注ぎ込まれる唐突なオカルト感とバイオSF感が渦を巻き、ちょっと例を見ない感じの仕上がりとなっている。2017/02/02