内容説明
妙寿尼の焼く黒茶碗は名匠の作と見紛うほどの逸品。その茶碗を譲り受けた田村次右衛門は、尼僧の窮地を知り、宗琳とともに人助けに立ち上がる。二人が年寄の冷水と感じながらも、菊太郎や鯉屋源十郎に相談することなく実行した計画は実を結ぶのか? 年老いた親の男気にほだされた菊太郎らの活躍を描く表題作ほか全六編。人気シリーズ第十二集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Smileえっちゃん
46
全6篇からなる公事宿シリーズ第12集。 京都に住む人々の生活、人情が描かれていて、京都言葉が優しい響きですね。公示宿に持ち込まれる事件。最後の「鬼婆」生まれた時悪意を持って産婆取り換えられた二人の娘さん、一人は両家に、もう一人は貧しい家で育てられた。18歳になった時、お金を目当てに現われたおばあさん。こんな時どうしたら一番良いのか考えさせられました。短編集なので軽く読めました。2018/01/05
rokoroko
14
私は表題の比丘尼茶碗が良かった。短編が続き忙しくても少しずつ読めた。12作目らしい。他を探して読んでみよう2022/08/22
ベルるるる
4
「お婆の斧」で、夫の不貞を疑い、わら人形に五寸釘を打つお婆さん、そしてそれを手伝う菊太郎に、思わず笑ってしまった。2014/09/28
kazu@十五夜読書会
4
ハードカバー読了済み(文庫もダブル登録で、共読本に反映させる)京都を背景に、人情あふれる時代劇。シリーズ12巻。「鬼婆」生まれたときに、悪意を持った産婆に赤ん坊を、すれ違えられた娘の18年後の話。公事宿に居候する菊太郎の、活躍が短くなった。① 闇の掟 ② 木戸の椿 ③ 拷問蔵 ④ 奈落のみず ⑤ 背中の髑髏 ⑥ ひとでなし ⑦ にたり地蔵 ⑧ 恵比寿町火事 ⑨悪い棺 ⑩ 釈迦の女 ⑪ 無頼の絵師 ⑫ 比丘尼茶碗 ⑬ 雨女 ⑭ 世間の辻 ⑮ 女衒の供養 ⑯ 千本雨傘 ⑰ 遠い椿 ⑱ 奇妙な賽銭 ⑲ 血は欲の2012/11/09
Akiko Nakano
1
今回は、全編ともに目線を変えたような作品だった。主人公は市井の人々。江戸時代の京の町がイキイキと蘇るようで面白かった。皆さんが言うように、このシリーズは、一気に読まないで、ちびちび読んで行きたいです。2022/05/19