内容説明
その自由で奔放な生き方で女たちを魅了した男、高瀬秋生の突然の訃報。大学の同級生だった真以子と協子、秋生の友人と結婚した七恵、一緒に暮らしていた佑美、その職場の同僚じゅん子。ひとりの男の死が、彼と関わった5人の女たちの人生に、さざ波をたててゆく――。30代半ば、もう若くはない、でもやり直せる。それぞれの事情を抱えながら生きてゆく女たちの、新しい旅立ちを描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
47
主人公のうち、どの女性にも少しずつ共感できるとともに、「それはないでしょ!」と共感できない部分も多し。結局、物語が始まった時点ですでに亡くなっている男性を軸に展開されるわけで、その男性の魅力というのが伝わってこなかったのが残念。ラストはみんな明りの見える終わり方でよかったです。2013/09/11
橘
36
5人の女性たちが代わる代わる主役になるお話だったので読んでいて混乱するかと思っていたら全くそんな事はなくて、それぞれの人生に引き込まれました。思いに閉じ込められている女性たちが辛いな、と思いながら読み始めたのですが、なんとなく前向きなこれから、で終わるのが好きでした。秋生みたいな男性は罪作りだなと思いながらも、女性たちの回想で出てくる秋生の言葉にはっとしました。「愛されることでしか相手を認められない。どうしてわからないんだろう、そういう人間がいちばん傲慢だってことが。」三十代って難しいな。2016/12/01
じゅき
29
秋生どんな男性だったんだろう。。関わりあった複数の人のそれぞれのお話。淡々と書かれている印象。読み始め相関図がほしかったりした(笑)いろんなタイプの女性がいるなぁ。。と2012/12/15
青葉麒麟
26
秋生が女転がしのジゴロか詩人のようで人間味が感じられ無かった。そこまで影響力のある人物とは思えないなぁ。がっつり関わっていた人もいれば、殆ど関わっていない人もいたと思う。登場人物の区別が最後まで中々つかなくて一寸苛っとした。もう少し減らせば良かったのに。2013/08/22
マッピー
20
主要な5人の女性の誰にも共感できない。だけど、誰の中にも私はいる。ずるさ、弱さ、卑屈さ、鈍さなど、私の中にもある。ただ、私は恋愛体質ではないので、秋生に囚われるということがどうにもわからない。自由で奔放な生き方といえば聞こえがいいが、秋生の生き方はゆっくりと死んでいくようなものだ。何にもとらわれず、というよりも、何にも興味がないのかもしれない。秋生の瞳は何を映していたのだろう。全くの漆黒のような気がして、私は怖いと思った。2021/01/04