角川ソフィア文庫<br> 百姓の力 江戸時代から見える日本

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角川ソフィア文庫
百姓の力 江戸時代から見える日本

  • 著者名:渡辺尚志【著者】
  • 価格 ¥704(本体¥640)
  • KADOKAWA(2015/12発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784044000035

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内容説明

江戸時代、社会の基盤をなした村とはどんな世界であり、人々はそこでどのように暮らしていたのか。「割地」や「無年季的質地請戻し」など、土地や山野の所有をめぐる独特な慣行を重視しながら、小農・豪農・村・地域社会に焦点をあて、その歴史や役割を平易に解説。年貢と搾取に耐える弱者のイメージを覆し、自立した豊かで逞しい百姓たちの姿を紹介する。私たちの祖先や故郷へとつながる「本当の歴史」が見えてくる!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

saga

29
中世から近世にかけて百姓を視座に歴史を考える。元はフィールドワーカーに向けた指南書のようだが、農本主義の下での百姓の生活が伺い知れて興味深い。「百姓」については網野善彦氏の著書で農民だけを指す言葉ではないことは既知だが、本書を読むと農民が兼業として非農業生産に携わりながらも農業を捨てない者が大半であることが分かり、言葉の由来と現状が理解できるような思いだ。農地の所有権に限っては、明治の登記法施行によって改悪されたように感じる。2016/02/06

to boy

26
期待した内容とは違いましたが、いろいろと新しい事を知ることが出来ました。江戸時代の最小単位は「家」であり個人としての意味合いが少なかったこと。農業に対し加工業が栄えた江戸後期に村と区別するために町が出来たことなどな~るほどと思いました。でも、それでも農業を捨てなかった百姓たちの考え、気持ちの根源がどこにあるのかもう一歩深く知りたいところでもあります。2016/01/17

樋口佳之

25
村落共同体は近代化(商品生産の発展)を阻害したのではなく、むしろ自らの機能低下をともないつつも、商品生産と下からの近代化を媒介し/たとえていえば、村落共同体とは卵の殻/はじめは中の雛(小前層)をしっかりと保護し、孵化する段階すなわち小前層の自立性が高まってくると、割れて雛を外の世界に出し/日本の村落共同体の殻は、雛の成長によって割れたというより、ヒビが入った段階で、外からの力によって割られたというべき/2018/06/21

軍縮地球市民shinshin

10
「戦後歴史学」の近世村落史研究の成果が文庫で手軽に学べる本。戦国から近世初頭では村は地侍や有力者に仕切られていたが、江戸後期になると一般の百姓の意向も村政に徐々に反映されるようになっていったとか、自宅の敷地や自分の田畑であっても村全体の土地という観念があり、村を離れたら村に土地を返却しなければならない、という土地観念など、現代とはかなり異なった常識をもっていたことが分かる。その一方で村人は読書を趣味とし、富士登山や伊勢参りなどの旅を楽しんでいたので、その説明がもっと欲しかった。2016/11/09

らる

4
江戸時代の「村」、それは今よりも小さく400人程度の集まり。現代は各個人が別々に生きることがベースの時代だが、かつては村全体で耕地を守り合い、一人の子供は村の子供として扱い、村の中では強いものが弱いものを助けるという関係になっていた。相互依存的であり、なおかつ生活がその村の集団内で完結していた。/生活が安定し人口が増え、農業以外での稼ぎが増えると自給自足的な生活から、商品・貨幣経済中心の生活へと傾いていった。村落で育った人が、十分な力をつけて自立する形である/現代日本には「村」のような繋がりはあるだろうか2021/01/12

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