内容説明
第5回本格ミステリ大賞への序曲。論理が漲る傑作推理集! 殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!? エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会賞受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ5編を収録した、ファン待望の作品集。
目次
イコールYの悲劇
中国蝸牛の謎
都市伝説パズル
ABCD包囲網
縊心伝心
あとがき
文庫版追記
法月綸太郎著作リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
99
法月綸太郎短編集第4弾。5作の短編の内、「イコールYの悲劇」「ABCD包囲網」の2作は、アンソロジー特集で既読である。「都市伝説パズル」「縊心伝心」は親子の対話のみで物語は進行し、シンプルに推理を堪能出来る作品で私は大好きだ。警視が事件の謎を綸太郎に打ち明け、親子二人して一案出しては意見を交わし、違うとなれば又一案出しては推理を論理的に検証して行く。読者が二人と同じ部屋に居て、推理を戦わせている感じが得られて、本当にこういうのは楽しい、名作「退職刑事」を思い出す。親子二人だけの推理論破、シリーズ化で希望。2018/05/13
ダイ@2019.11.2~一時休止
63
法月綸太郎その9。短編集。中国蝸牛の謎・都市伝説パズルなんかがよかった。2013/09/27
HANA
60
法月綸太郎短編集。著者はトリック一つで勝負する傾向があると思っているので、短編集との相性がいいように個人的には感じている。本書を読んでそれを再確認。著者には珍しく都市伝説という怪奇を小道具に用いた名品「都市伝説パズル」は何度読んでも感嘆するなあ。雰囲気に用いるだけではなく、何故その事をしなければいけなかったのか。から逆説的に犯人が判明するのは本当に瞠目する。他にも収録作には一風変わった密室やダイイングメッセージ、奇妙な自白等があり、さながらトリックの展覧会のような趣である。ミステリの論理、楽しめました。2022/05/22
ヒロユキ
44
5本の短編が収録されているなかで、一番短い「都市伝説パズル」が面白かったです。わりとトリッキーな作品が多いなかで、有名都市伝説をシンプルなわかりやすい論理で料理されていたのが一際めだってました。短編推理小説のお手本のようで、ゼロ年代の「本格短編」ミステリ第一位も納得の一本です。2012/03/27
buchipanda3
40
シリーズ第3短編集。今回もロジカルな親子の掛け合いを楽しめた。著者の短編集は、程よい長さで無駄が無く安定したクォリティ。たまに踏み外したかのような方向に論理的に走っていくのもご愛敬。特に今回は突飛なネタが多くて楽しかった。「イコールYの悲劇」ダイイングメッセージなんてこんなものと言わんばかりの扱いが面白い。「中国蝸牛の謎」トリックのための労力が過大なだけに納得。「都市伝説パズル」不気味な素材が巧くハマる。「ABCD包囲網」理由が気になって気になって。「縊心伝心」よくぞあそこまで辿り着いたなあと感嘆。2018/07/11