内容説明
奄美大島の医療施設で患者と職員全員が惨殺され、隣島では魔獣が出現して多くの島民が殺されたという報せに、ラビリンスの足跡を追う二階堂蘭子も現場に到着する。現実離れした惨劇を冷静に精査し推理を組み立てていく蘭子は、ラビリンスの恐るべき野望を打ち砕けるか? 名探偵蘭子シリーズの力作長編。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
324
双面獣の恐ろしさよりも、豊かな巻き毛に常時ヤスリと、イヤリングに火薬を仕込み、それがさも探偵として当然の嗜みのようにのたまう蘭子さんと、負けじとベルトのバックルを火打石代わりに使う黎人君といった、精神年齢の低いミステリオタク兄妹の不気味さが炸裂している。完全に自分の無謀さが原因で拉致られて死にかけた直後に「無謀なのと積極的なのは違うわよ、黎人」とかキリッと言っちゃう蘭子さん。ちなみにこの時、中村警部は凶悪犯に拳銃を奪われており、警察官としての未来に終止符を打たれています。次回登場の際は平の巡査か?2017/09/09
勇波
34
ミステリー云々はさておき、面白かった。少年探偵団でワクワクできるのなら、今作でも楽しめるでしょう。内容が魔獣vs蘭子さまなので、黎人くんのお間抜け推理披露がないのが少しだけ寂しい★2019/01/20
ヒロユキ
29
全体の雰囲気は好きだったけど期待してた話の展開や落としどころとはだいぶ違った感じ。蘭子シリーズの魔女や悪魔、人狼みたいな要素はけっこう好きなんだけどそれを全面に押し出されるのは違和感。このシリーズならもっと固めのトリックとかが読みたい。普段とは少し毛色の変わるラビリンスサーガ、その中でも更なる異色作だったのかな。2015/07/04
マッちゃま
24
「このあと真相に触れる箇所があります」的な文句が無い限り、いつも解説を先に読むタイプでして、本書も当然の如く読みますと「なるほどなぁ〜」と思いました。作者が本書で書きたかった部分にも、まあ〜そうなんだねって感じる事が出来ました。そんなワケで下巻は違和感は減少し素直に楽しめました。シリーズの中の異色作。いや、シリーズものだからこそ活きる、異色…のミステリなんでしょうね。ただ今回の蘭子は道化役で終わった感が強く、次作では快刀乱麻の活躍を期待したいトコです。でも次も上下巻なんですよね。こりゃまた長いわあ(苦笑)2018/03/22
LUNE MER
20
真相解明のパートに突入すると防弾系御手洗作品(水晶のピラミッド、アトポスなどの分厚い作品群のころ)を思い出す。自分もこんな作品を書いてみたい!のリストの中には上記のものも含まれていて、なかなか手が出せなかったもののようやくものした、という感じを想像してしまう。というわけで個人的には広義で想定の範囲内の展開だったのだが、蘭子シリーズの型を重んじるタイプの読者からはバッシングすら受けそうな作品でもあると思う。2022/05/06