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内容説明
人気のホラー作家が書き下ろす実録・男女論。
かつて「魔性の女」というと妖艶でつかみどころが無く、どこか不思議な魅力を持つ女達のことを指していた。女性にとって「魔性の女」と呼ばれることは一種のステイタスだった。しかし、今はどうか。妻から夫を奪い取る愛人家業に生きる女や、男を狂わせる女、そして世間を賑わせた2つの男性連続不審死事件で犯人とされる被告らは揃いもそろって容姿端麗とは言い難い。
本書は、結婚というものをフックに女の強かさ、計算高さ、愚かさ、怖さ、男の短絡的でだらしなくて、幼く脳天気さ、ずるさなどを描いていこうという趣旨である。
本書で登場する人物は基本的に仮名ながら、名前を聞けば、誰もが分かるであろう著名人・有名人のエピソードが数多く含まれている。社会的なステイタスを持ち、金銭的に恵まれ、端から見たら非の打ち所がないように見える彼らでさえ、「結婚」というものに縛られ、苦しめられ、苦汁をなめているのである。決して幸福とは言い難い日々を過ごしている人たちがいかに多いのか。
端から見ては不幸にしか見えないが、本人にとってはそれが幸せだという不思議な愛の形もある。結婚とは「ホラーと背中合わせ」なのかもしれない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
121
{2015年} 本書に登場する人物はすべて実在の人物で、有名人や著名人を除きすべて仮名。見合い結婚から恋愛結婚が主流へ。誰が言ったか、「結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如」。役所に結婚届を提出した途端、法律的にはガチガチに縛られる一方で、入籍という道を選ばず事実婚という道を選択するカップルも少なくない。この人しかいない!から、この人でよかったのかしら?と自問自答しているあなたへ。たった一度の人生、悔いのない選択を..。 2015/11/25
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
64
岩井志麻子、初めて読んだ。面白かった。この題名、私も秘かにそう思っていた。題名ではわかりかねるが、結婚がテーマの本でもある。魔性の女の事件とは、結婚制度がある故に生まれる悲喜劇(主に悲劇だが)。しかし岩井志麻子は優しい人だ。悲喜劇の登場人物達の欲望に、たまにフッと暖かい手を当てる。ゲスの極みなゴシップ列伝の中、不意に真顔で世の中に怒る。結婚制度の生んだ悲惨を書き連ねながら、読者に結婚を勧める。堕ちて底をついた後に立ち上がる結婚堕落論かも知れない。男もそうだが女も業が深い。下流も上流も関係なく悲劇はある。2016/03/08
fwhd8325
34
このタイトルと、内容は今ひとつマッチしていない印象です。岩井さんが語る男女の事件簿といった内容です。一つ一つに岩井さんならではの毒が吐かれています。週刊誌のルポのようでした。2016/09/13
澤水月
33
つくば母子は殺害当時叩かれていなかった(入社したてで強く覚えてる)後にネット文化発達した時に2ちゃんで口さがない声が…もしや後からの参照か?そこは危なかしさ感じた、鳥取には二回行ってみゆきの周囲探り驚愕のその後書くのに。事件好きなのでほとんどの件わかり面白かった。セレブ父娘の姉妹、監督の愛人と若い男追い回しを同時にした女優のモデルがきになる! ただ題名は全く内容に合わず下世話な男と女の事件簿に、貴賎なしといったところかな2016/03/15
naji
25
サラッとナナメ読み!?事実は小説より奇なり(むしろ恐怖)ですね。結婚という概念について考えさせられ、ソクラテスの名言『ぜひとも結婚しなさい。もし良い妻を得たならば、あなたは幸せになるでしょう。もし悪い妻を得たならば、あなたは哲学者になるでしょう』や名台詞『結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如』は是非覚えておこう。このような内容を読むと本書のあとがきにある様に、つくづく自分の両親の関係に尊敬の眼差しを向ける、そんな一冊でした。2015/12/13