内容説明
超大作のテレビドラマの収録現場を抜けだした人気女優・田井チリ子は病院に向かっていた。「先生、見てください!」そう言ってかき上げた前髪の奥、額にある大きな眼が医師の顔をにらみつけた時、医師は真っ青になって、のけぞった。眼はたちまちのうちに、地球上のありとあらゆるものをおおい、地上を這い、水中を泳いだ。人々は耐えきれずに正気を失い、破滅していった――。不気味さではナンバーワンと言ってもよい表題作を含め、初期の傑作短編12編を収録! 小松左京のユーモラスな手描きカットを挿入した小松左京による書き下ろし解説つき。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アーチャー
14
私が読んだのは黒田征太郎氏の軽妙なイラスト・カバー版です。短編集とはいえ、著者らしい硬派な発想の作品が多く感じた。個人的には「時魔人」「日本漂流」は好みです。2015/01/18
とも
8
★★★★特に、「日本漂流」と「彼方へ」は絶品。昭和47年初版なので40年前に記載されたとは思えない現在でも十分に通用する最新科学の知識や先見性、それを下ネタであっさり払拭する力強さ。このバランスに、30年前に読み漁った記憶が色あせる事無く引き込まれる。2013/01/26
いづみ
6
初期の短編11編。『時魔神』は、初版が昭和47年であることを思うと感慨深い。案外人間は適応していってるのか、科学の発展スピードがちょっと落ち着いたのか…。『ヤクトピア』を見ると、もうそれぞれの主観でしか世界は見られないのだなあと思ったり。2013/09/12
ふじい
3
中学生の頃に読んだ記憶が・・・ほぼ消えている。 が、現在から見ても十分に興味深いし、面白い。 短編11篇。SF大博覧会。軽妙な語りなれどどれもハードSFの質感。 ヤクトピアは所謂ARの予見、TDSと、時魔神は文明風刺だが現代のAI問題と同義。手遅れ…真っ当な宇宙進出とOパーツが書かれるがクラーク的な落ち。彼方へ…イーガン張りの宇宙の果が描かれるが落ちは・・(^_^;)。機会があれば読んでください。2021/09/17
けいちゃっぷ
1
短編集。バラエティだね。