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内容説明
人はなぜ暴力を振るうのか。人を殺すと眠くなるというのはどういうことなのか。暴力団、関東連合、ヤクザ、暴走族……アウトローたちの取材を重ねてきた著者ならではの暴力論。新時代の暴力としてネット上での言葉の暴力や動画公開が増えている現状、「1980年代型殺人事件」としての「川崎市中学生殺人事件」など、さまざまな角度から、今そこにあるリアルな「暴力」について論ずる。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
74
『実話ナックルズ』元編集長が、自らの体験を中心に綴った暴力論。早速冒頭で、「暴力とは弱者に対するもの」と定義。異論はない。自らの体験にアンダーグラウンドな知識とゴシップをチラチラさせながら、暴力を中心に話題が多彩に扱われている。この辺、雑誌っぽくて飽きさせない。新選組の話題まである。なるほど土方歳三のあの目はヒトごろしっぽいかも知れない。薄めの1冊だが、最後まで面白く読む。結局、独りに耐えられるタフさと優しさこそが強さだという意見には賛成。坂口安吾の「良い事も悪い事も一人でするんだ」という名言を思い出す。2018/08/17
harass
44
実録系雑誌編集者による現代の暴力についての体験談と意見。論とはいえない。取材でのヤンキーやヤクザとのやり取りや元犯罪者とのエピソード。ネットにも詳しい著者は近年のネット発の暴力についても語る。個人的には圧倒的存在感の出版社オーナーの話にまいった。凄まじい威圧感…… 逮捕前にでた本だが清原についての考察があり、いろいろ噂にはなっていた含みがある。ざっくばらんな体験談で怖いものみたさの読み物。暴力にどう立ち向かの対策もある。アウトローな人たちに接する著者の意見は人間考察に値する。良い暇つぶしに。2016/07/18
GAKU
34
何人かの方のレビューにもあるように、生身の暴力”論”というよりは、暴力に関するレポートという感じでしたね。唯一「殺人を犯した人間というのは、トロンとした眠そうな目をしているという。そして、その目は大量殺人者でもある土方歳三の目に似ているらしい。」という下りが興味を惹かれました。暴力に遭いそうになったら、とにかく「逃げるが勝ち」ですね。2015/10/07
澤水月
31
著者の暴力追想つらつら。普段なら冗長だろうが自分が今秋(刊行直後)、著者の既刊書にも関係する某暴力系の「場面(書内独特の語、リアルに体感せぬと分からない…)」に居合わせ色々心底「あ、底の底から思考体系も行動も違う人間がいる」と思い知った個人的経緯から妙にどの文も心に響いた。以来暴力、テロ等に興味。「デビュー」で捉えるのも割と分かる。実も蓋もないが修羅場知ってるのと未知とでは度胸も心構えも生き方もまるで変わる。これは女でも変わらないと思うし処世術。下げる頭はタダというのも真実(編集者の習い性でもあり共感2015/12/30
colocolokenta
25
北野武の映画『アウトレイジ』をたまたま観てその中の暴力シーンに驚いて、落ち込んでしまっていたところでこの本のタイトルが目に入った。「本当にこんなことできる人間なんているのだろうか」というのが映画をみたときの驚きだったが、この本を読んで納得できた。「一線を越えてしまえば、何でもできる」そのことが理解できた。そして、越えてしまった人はどこにでもいる。世間をなめて生きていてはいけない。デビュー論とダサさの関係はいい分析だと思った。それにしても、男ってある意味馬鹿な生き物だ。2015/10/04