山と溪谷社<br> ヤマケイ文庫 穂高に死す

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山と溪谷社
ヤマケイ文庫 穂高に死す

  • 著者名:安川茂雄
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 山と溪谷社(2015/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784635047838

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内容説明

近代アルピニズム発祥の地、穂高連峰では、数々の輝かしい初登攀記録の陰で凄惨な遭難事故が起きていた。
加藤文太郎(北鎌尾根)、大島亮吉(前穂北尾根)、松濤明(北鎌尾根)、茨木猪之吉など、名だたる登山家が槍・穂高の露と消え、前穂高岳のナイロンザイル切断事件、「松高」山岳部の栄光と悲劇など、登山史に影を落とす事故も穂高を舞台に繰り返されてきた。
穂高における山岳遭難の歴史を振り返り、連峰に若くして逝ける登山家たちの群像を描いた話題作を文庫化。
昭和初期から第2次登山ブームの30年代まで、穂高連峰で起きた遭難を、歴史を軸に紹介する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ビブリッサ

33
悲惨なニュースが流れるとき、画面には酸鼻たる現場が映され人々に恐怖を与えることが常だ。しかし、雪崩事故や滑落遭難を告げる一報には、上空からの美しい雪山や雲海に霞む幻想的な山脈の映像が添えられていることが多い。その雄大な山姿と惨たる事故とのうらはらさに違和感を覚えることが間々ある。近代アルピニズムの黎明期に、穂高に逝った若き登山家たちの姿を記している本作。どの山をいつの季節に何度登ろうと、登攀者には勝利もゴールもない。大自然の絶対者「山」へのより深い信奉者・献身者が生まれるだけだ。2017/05/14

シガー&シュガー

15
本人も登山に親しみ、井上靖の名作「氷壁」の資料提供者の一人でもあった安川茂雄がものしたドキュメント。中には加藤文太郎など著名な山男の記録もあります。少し変わったところでいえば、山岳画家の茨木猪之吉。登ることと絵を描くことの違いがあるとはいえ、山への狂気的な愛情は登山家にも劣らない凄まじさでした。ここまで山男たちの愛が深いのを知らされると、愛した人間だからこそ山はその腕に抱きこんでしまうのかと思わざるを得ません。ひとつひとつのエピソードが重く、ページを繰る指もなかなかはかどりませんでした。2016/11/18

ランフランコ

6
明治時代から昭和30年代までの穂高における遭難事故の短編集。現代アルピニズムでは8000m峰にフォーカスされがちだが、国内の登攀でも特に冬場は非常に危険なことに変わりは無い。情報も少なく装備も粗末な当時の登攀は現代よりも一層危険で困難であったと思う。当時は大学山岳部が日本登山界をリードしており、高校山岳部までが冬山登山を行なっていることは驚きだ。あまりに事故が多く若い命が失われるため、高校山岳部の登山は現在では制限があるようだ。山を目指す若者の気持ちもよく解るが10代で命を失うのはあまりにも忍びない。2019/02/14

ふたば@気合いは、心を込めて準備中

3
近代的なスポーツ登山の黎明の頃、雪の高山に命を散らした若者たちの記録。若いとは、かくも無鉄砲で、向こう見ずで、自身に溢れていることか。どんなに準備をしても、訓練を積んだとしても、今から考えたら、生身の人間がそのまま雪と氷の世界に特攻をかけていくようにしか見えない。それでも、雪山に憧れた彼らは最後の瞬間まで後悔はなかったのだろうか。行かなければよかったと、悔しさを噛み締めたのだろうか。友の死を間近で見ることになった生還者たちのその後が、如何様なものだったのかが、気にかかる。2019/12/04

タカボー

2
週末に北アルプスに出かけるので、自分の肝に銘じるために読みました。絶対安全が保証されてる「怖い」が溢れてる世の中で、日常のすぐ近くにあるのにあっさり人間が死んでしまう場所。準備して恐れながら楽しみたいと思いました。2015/09/11

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