内容説明
「兵法家と兵学者は違う」孫武の時代から約150年後、後孫にあたる孫ビンはホウ涓（けん）の影響で兵法のおもしろさに目覚めた。やがて魏につかえ大将軍となったほう涓を訪ねた孫びんだが、その才能に嫉妬し恐れたほう涓の残酷なたくらみに嵌ってしまう。かつての友への復讐と兵法家としての意地を賭けた最後の戦いが始まる。（講談社文庫）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
172
下巻は 斉の軍師孫臏を描く。呉の孫武の 子孫として生まれ、成長していく様を 龐涓との縁を盛り込みながら、 著者は闊達に描く。 孫臏の人物造形が上手く、宿命の龐涓との 対比も面白い。龐涓の陰険な罠と 孫臏の復讐..著名な馬陵の戦いが現代に 見事に蘇る..改めて海音寺潮五郎の歴史への 造詣の深さを実感した本だった。2017/03/05
しんすけ
6
下巻は孫臏と龐涓の物語である。孫臏は多くのことに関心を抱く人であった。それに比し、龐涓は兵法以外は興味を抱かぬ人であった。孫臏は普段は遊んでいるようだが、いざ兵法を知ると心髄を捉えるは早かった。それに比し、龐涓は覚えていること以外に応用範囲を広げることはなかった。孫臏は天才型、龐涓は努力型と云えるかもしれない。龐涓は融通が利かない日本の官僚に多いタイプとも云える。努力型が天才型を憎むのも、よくある例である。努力型も多くのことに関心を持てば、天才型を憎む馬鹿らしさに気づいたであろうに。2017/08/28
著者の生き様を学ぶ庵さん
4
孫子と言えば、上巻の孫武。約150年後の子孫である下巻の孫臏は知りませんでした。幼馴染みの単なる「兵学者」龐涓よりもはるかに上手な「兵法家」孫臏。やはり、単なる学者ではプロに勝てないのか。2015/05/27
フミ
3
職場の休憩中に読み終えました。 下巻は、主人公が代わって１５０年程後の「孫 臏（ｿﾝﾋﾟﾝ）」という人に。 上巻で５４０ページ程、かけて貰えた「孫武さん」と比べて、下巻の「孫 臏さん」は２６０ページ程と短め。 友人で後に宿敵となる「龐 涓（ﾎｳｹﾝ）」との交わり～決裂までの話に、かなりページが割かれていました。 他にも、少し前の時代の「呉起」という、優秀だけれど主役に出来ないぐらい苛烈な人の話などもあったり。 「孫 臏」が仕官した後は、随分と駆け足な感じでした。 もう少し、ボリュームが欲しかったな…。2021/12/10
入江
3
初・海音寺潮五郎。読みやすく、キャラクターやエピソードがスリリング。また、所々に海音寺氏の読み方も書かれている。例えば「しかしながら、この話は、ぼくには信ぜられない。ぼくはこう解釈している。〜」などナポレオンのパルチザン戦術からも独自の論旨展開をする。興味のつきない本。2014/06/21
