講談社現代新書<br> 作家という病

個数:1
紙書籍版価格
¥968
  • 電子書籍
  • Reader

講談社現代新書
作家という病

  • 著者名:校條剛【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2015/07発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062883238

ファイル: /

内容説明

どこかしら「過剰」だからこそ作家なのだ--。小説新潮の編集に約30年携わり、同誌の編集長もつとめた著者が、鬼籍に入った思い出深い著者たちの記憶をたどる。渡辺淳一、山村美紗、遠藤周作、水上勉、井上ひさし、城山三郎、久世光彦……総勢21名の作家たちのそれぞれの業(ごう)を秘話満載で描く。(講談社現代新書)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

44
編集者から見た作家の生態を描いた本は大村彦次郎が有名だが、あちらが純文学系が中心なのに対し元「小説新潮」編集長の手になる本書は大衆文学系が大部分。人間臭さでは断然後者だ。直木賞に頭を焼かれてしまった面々や、酒や遊びで失敗したエピソードは本当なのかと驚くし、各人の奇妙な性癖や死に至る病気の話は初耳が多い。「作家になりたい」意欲に燃えるあまり頭のネジが飛んでしまった文士たちの姿は小説の登場人物のようだ。そこまでしてなぜと思いたくなるが、周囲に迷惑をかけるほど妄執に憑かれた人でなくては本物の小説を書けないのか。2020/10/22

たくのみ

15
大衆うけする「飢餓海峡」ではなく純文学をめざした水上勉、「旗ふるな、旗ふらすな」に託された、城山三郎の戦争扇動への反感。バーのママの余技と言われることを嫌った山口洋子。御馳走しないと気が済まない井上ひさし、常識と反常識の同居する遠藤周作。昭和の文壇の個性的な人々と「小説新潮」の担当編集として、飲み、語った日々の回想録。制御がきかなくなっていく西村寿行、傍若無人な京都パーティーを続けた山村美紗など編集者泣かせの大作家たち。エピソードは面白いけど、当事者はたいへんだったんだろうなぁ。2015/08/06

nizimasu

13
元新潮社の敏腕編集者の見聞きした作家ゴシップが全編を占めていてこれは昔の噂の真相みたいでとても面白く読めた。特に前半は水上勉や渡辺淳一、遠藤周作といった大御所が出てくるのであっという間に読んでしまう。それにしても編集者と作家の関係は猛獣と猛獣使いに例えられるが、西村寿行のようななかば暴力のような理不尽さにも耐えうる仕事である編集者の矜持みたいなものが感じられる。その一方で山村美紗への冷淡な対応なんかもさりげなく書いていて、ここまで書いていいのかと思ったがいずれも鬼籍にはいっているからか、その筆は鋭い2015/07/29

ふう

11
とにかく激しいエピソードばかり(読めばわかる)。「直木賞に頭を焼かれてしまった小説家」って本当にそうなんだろうなと納得できるような作家先生たちの壮絶な日々。誰が誰の愛人だとか、お前は何様だよな女帝ぶりとか、酒豪だ暴君だ精神病に糖尿病だとかなり赤裸々に語られててビックリ。出版社の経費ってどの辺りまで落ちるんだろと余計な心配を…って心配といえば多島斗志之…どこででもいいから平穏な日々を過ごしていて欲しい。結論として一番好きなのは都筑道夫。その反対は山村美紗w 井上ひさしのメッセージ、いいなあ。2015/10/05

天晴草紙

10
気になる作家だけ読むつもりが興味深くて全部読んでしまった。作家として生きることはすさまじいものだと思った。倫理と無縁な作家は「あちらにいる鬼」だけではないようで、自宅に帰らず女を転々とした男や、不倫相手の話を妻に詳しく報告する異常男などなど。現代でもいるのだろうか。身勝手な夫に妻たちはどういう思いで暮らしていたのだろう。狂気の極みは「女帝の時代」だ。女性流行作家が教祖のようにふるまい出版社の人間はあきれながらひれ伏す。権力に溺れるのは男に限らない。出版社に勤務していた著者の悲哀も深みを加えている。2021/02/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9775721
  • ご注意事項