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内容説明
化学反応には触媒が必要であるということは、化学を学んだ人なら誰でも知っていることです。では、なぜ触媒は、触媒としての働きをするのでしょうか? それを解き明かすには、触媒の表面で起こっていることを、分子レベルで調べる必要があります。本書は最新の表面科学の研究で明らかになったミクロでダイナミックな触媒の働きを、高校レベルの化学の知識で、興味深くかつ分かり易く解説します。(ブルーバックス・2015年6月刊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
36
触媒研究は化学の花形だ。ほんのわずかな金属片が、反応効率を劇的に高める。ありふれた空気(窒素)を、価値ある肥料(アンモニア)へと換える。それはまさに現代の錬金術である。魔法の秘密は表面にある。合成化学とはいっけん縁遠い表面科学が、触媒反応のメカニズムを解き明かす。分子はいかにして反応を進めるのか。ハーバー・ボッシュ法から現代までつづく、100年にわたる壮大なハウダニット(How done it)。それはまるで上質なミステリを読んでいるかのような、驚きと興奮にみちている。2016/10/11
calaf
11
触媒の入門書・・・だけではなく、表面科学の入門書でもありました。高真空と単結晶試料というのがこれまでの研究のある意味常識だったのですが、最近では高圧下、そして現実的な試料を用いた測定の領域へも踏み込みつつあるみたいです。2015/07/26
Hajime Ito
3
読書メーター100冊目。大学で学んだ時にはバラバラな知識となりがちな表面科学、熱力学、量子力学、反応速度論、数学などが触媒の働きを明らかにする上でどのように役立つのかが明快に書かれていてそれだけでも面白い本でした。さらに対象を細分化して原子・分子の動きを徹底的に解明する研究の仕方やそのような細分化された研究と現実のギャップに起因する今なお解決されていない研究課題もわかりやすく書かれていて、単なる科学書という枠に留まらない名著だと思います。2015/08/08
NNNNN
1
ラングミュアの吸着等温線はよく見たり聞いたりするけどこんな経緯があって発見されたのか!知らなかった。話の展開も必要な分だけ専門的という感じで夢中で読んでしまった。 STMが高分解能である理由も常々不思議に思っていたがそんな理由だったとは。餅は餅屋というか、「あとは若い者同士で、、」みたいな感じかな。原子のことは原子しかわからないということ。他の物事にも応用できそうな考え方だな〜と納得してしまった。2019/08/12
ダージリン
1
固体触媒は興味ある分野だが、触媒がどのように機能するか分かり易く解説している。特に表面科学の面から詳しく掘り下げており、大変ためになった。触媒の表面構造自体の変化、それを実験的に捕らえる技術など、興味深いトピックが多かった。2016/07/24