ハヤカワ・ミステリ文庫<br> ママは何でも知っている

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ハヤカワ・ミステリ文庫
ママは何でも知っている

  • ISBN:9784151811517

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内容説明

毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。ママは“簡単な質問”をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件をいともたやすく解決してしまう。用いるのは世間一般の常識、人間心理を見抜く目、豊富な人生経験のみ。安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈ブロンクスのママ〉シリーズ、傑作短篇8篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

282
おもしろかった! 警察官の息子から聞かされる事件の真相をあっという間に解決してしまう、いわゆる「安楽椅子探偵」ものの連作短編集。謎解きの鮮やかさはもちろん、心憎いのはママから出される「質問」のひとひねり。解説にもあるように、この質問が読者への挑戦状と事件解決のヒントになっていて、起承転結の「転」の部分を担っている。また、話が進むにつれてママのキャラクターに深みが加わっていき、一冊の連作短編としてかなり質が高いものに仕上がっている印象。翻訳も読みやすく、オススメ。2018/11/04

夜間飛行

239
警官をしている息子が妻といっしょにママを訪ね、夕餉の卓で事件の話をすると、ママがあっさり解決してしまう。妻は複数大学を出たインテリだがママには太刀打ちできない。ただしこのママは息子を子供扱いしがちで、(こんなに頭はよくないが)昔の私の母親を思い出した。ある意味困ったママだけれど、料理の話に心地よく脳を刺激されるうちに、困った部分も含めてほろ苦いユーモアのように思える。僅かなヒントで真相を見抜くママの人間観察力に舌を巻きつつ、やはり母という盲点は消せないのか、それとも題名どおり全部知ってるのか…は謎だった。2022/01/09

Kircheis

160
★★★★☆ 安楽椅子探偵物の代表作とも言われる作品。 程よい分量の短編集で、与えられた事実のみを手がかりに難事件を解決するママの推理が小気味良い。 全体的にコミカルで、殺人事件がテーマでも陰惨にならないようになっており、軽い気持ちで読める。 ミス・マープル(アガサ・クリスティ)の短編集『火曜クラブ』に似た雰囲気も感じたが、主役2人の性格は全然違う。 ただしどちらもややこしい(笑) 頭の良すぎる人は面倒な人でもあるということか…(^_^;)2019/07/04

藤月はな(灯れ松明の火)

99
事件を解決するのは刑事のディヴィットではなく、料理好きのママの方だった!ママがその洞察力を培ったのが老獪な商売人達との値引き交渉やご近所付き合いや親戚関係なのがミス・マープルみたい。そしてママのママも立派な安楽椅子探偵でした。事件自体は簡単なものだけど、飽きのこない会話が楽しい。それにママのチャキチャキした喋り方と事件関係者へのどこまでも暖かで優しい目線、ブルドック顔のミルナー警部に対しての恋する乙女のように羞じらう態度のギャップが可愛い^^しかし、ママの作る料理が本当に美味しそう。レシピが本当に欲しい!2017/07/19

だんじろー

77
約60年も前に書かれたとは! まったく古さを感じさせない上質な作品の数々。短編のお手本のような鋭い切れ味。人物描写においても決して手を抜くことなく、短いやり取りの中に登場人物たちの人柄がにじみ出てくる。ママが口にする質問のなんて小粋なこと。どこかの親戚のエピソードを突然披露するところも実にファンキー。訳者の小尾さん、とんでもない方です。“安楽椅子探偵”ならぬ“キッチン探偵”。おみそれしました。2016/06/23

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