内容説明
「太陽も死もじっと見詰めることは出来ない」(『マキシム』)17世紀のモラリスト、ラ・ロシュフーコー。深く鋭いシニカルな人間洞察から生まれたその著書、『マキシム(箴言集)』は、今日まで広く読み継がれている。争乱の世紀に名門貴族として生まれ、戦闘と陰謀と恋愛に明け暮れた彼が、なぜ厭世的な思想を持つにいたったか? 波乱の生涯を、文明と歴史を軸に描く評伝小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんやん
18
箴言で有名なラ・ロシュフーコー公爵の伝記、といっても、先祖代々の話から始まる。一人称で始まるから、小説的な要素が強いのかと思ったら、三人称になったりもする。カトリックとプロテスタントの対立を経てナントの勅令に至る経緯はすでに『ミシェル』で読んでいたから、重複しているわけで残念でした。本作の中心はフロンドの乱。歴史の記述が平板な羅列で、歴史上の人物も総じて色褪せて魅力がないなかで、女性たちが大活躍。男性では、公爵の秘書からルイ14世の財務担当まで出世する“驚くべき”グールヴィルに本当に驚かされる。2017/11/25
はる
9
フランス王国にプロテスタントとして生きた武人フランソワ(6世)・ラ・ロシュフーコーの文書を散りばめながら回想風物語に仕立てられた作品。ノートルダム大聖堂が石造り建築に作られたその頃フーコー一世は妻ジェルサンドとノルマンの岩の丘に城を築き、ラ・ロシュフーコー家を起こす。 主人公フランソワ6世はルイ13世から14世の治下にプロテスタント武人として内乱を駆け抜けた人。丁度Tous pour un, un pour tousの三銃士がルイ13世王妃アンヌを救わんと枢機卿リシュリュウの策謀と戦った頃。→ 2023/12/31
韓信
2
箴言集の著者、17世紀フランスの武人貴族ロシュフーコー。戦争と陰謀と恋に彩られた波乱の生涯を綴る評伝小説。一人称と三人称を自在に使い分け、主人公の内面・思想から時代の動乱、文化の変遷や貴族社会の瓦解といった歴史的潮流までもを、あくまでも「同時代の眼」から活写していく流麗な筆致に圧倒される。それでいて箴言集が現代人の共感を得るように、本書の主人公の独白が我々の価値観から乖離しないバランスで綴られるあたり、個人的には歴史文学の一つの理想型ですらある。2012/09/17
seri
0
フランス史の知識がないうえ、内容もとりとめなく書かれていて、なんとか読み終えたが結局わからないままだった。時代背景が混沌としていたのかな、という雰囲気は感じられた。2021/07/12